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インタビュー

NPO法人MAMIE理事長

安藤美紀さん

  • 2017.1.25
  • 聞き手…社納葉子
  • 撮影…井上陽子

 安藤美紀さん

「聴覚」という壁を超えて自由に

 

写真撮影のためにNPO法人MAMIE(マミー)の事務所を訪ねると、安藤美紀さんが聴導犬のレオンと共に迎えてくれた。笑顔で話しかけてくれる。  しかし美紀さんには生まれながらの聴覚障害があり、音はまったく聞こえない。相手の口元に集中して言葉を読み取り、会話をする。細かいニュアンスを伝え合うのは難しいので、インタビューはメールで行った。

美紀さんが育った1970年代、聾学校で手話を禁じられるほど、聴覚障害への偏見は根強かった。地域の学校に通った美紀さんも、母から厳しく「口話」のトレーニングを受けた

 

自由に心を放てるのは、童話や漫画の世界だった。『みにくいあひるの子』を愛読し、いつか白鳥になる自分を妄想した。小学校に入る頃には、当時大人気だった『キャンディ・キャンディ』をはじめ、少女漫画を夢中で読み込んだ。現実の中では、常に「聴覚の有無」が自分と世界とを隔てている。しかし漫画の世界に壁はない。自由に思いを伝え合える世界に自分も入り込み、登場人物の一人となって遊んだ。いつしか美紀さんは、漫画を描いて自分の気持ちを伝えることを覚える。漫画は、世界とつながる手段でもあった。

描きためた漫画原稿を出版社に持ち込んだこともある。しかし編集者から「耳が聴こえないから漫画家は無理」と突き返されてしまう。「耳が聴こえないのと漫画は関係ない」と言い返すと、「漫画にはいろんな言葉をつくる才能がいるの。聴こえないあんたに、多くの人の心を動かせる力はない」と切り返された。道具をすべて捨てた美紀さんは、「言葉の力を身につけよう」と気持ちを切り替えた。

        続きは本紙で...


あんどう みき

1969年、鹿児島県生まれ。大阪市在住。NPO法人MAMIE理事長。mamieは古いフランス語で「大切な人」を意味する。MAMIEのウェブサイトで美紀さん作のパラパラ漫画「きこえないことって?」「聴導犬って?」等を読むことができる。

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