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インタビュー

特集「今、表現すること」インタビュー

中島京子さん

  • 2017.1.1
  • 聞き手…清水さつき、柏原登希子
  • 撮影…常見藤代

 中島京子さん

自由に書く場を大切に、面白い小説を

 

子どもの頃から作文が好きで、中学生の時には小説を書き始めていました。書いたものは誰かに読んで、楽しんでほしい。というのも、高校生の時、書いていた小説を姉に勝手に読まれてしまって、腹が立つかと思ったら、姉が「面白かったから、また見せて」と。それで、書いては姉に見せるようになりました。「面白い」と言ってくれたのがうれしくて。〈読者〉との幸福な出会いでしたね。

 大学生時代には長編小説を書いていました。卒業後はライターの仕事を経て、「主婦の友社」で7年間働きました。忙しくなって小説を書き続けるのもままならず、「自由に好きなものを書いたらどんなに楽しいだろう」と思うようになったのです。一度リセットしようと仕事を辞め、渡米し、1年間アメリカの子どもたちに日本文化を教えるプログラムに参加しました。その体験をエッセイにして帰国後出版。あまり売れませんでしたけど…。  帰国して執筆を再開、5年かけて、ようやく初めての長編小説『FUTON』(①)を出しました。

 

 『FUTON』は田山花袋の『蒲団』を本歌取り、つまりリミックスした小説です。花袋はリアリティーを重んじる自然主義派で、“中年の小説家が(若い女の)弟子の蒲団に顔をうずめて泣く”というオチの話です。実は思いの外おもしろかったけれど、男の心情がリアルな割には、男の妻や女の弟子が声を与えられていない。男の妻の声も時折登場しますが、その妻の声が男視点なのです。先生(竹中時雄)の妻(名前がない)が、弟子(横山芳子)に説教したと書いてあるが、なぜ説教したのかわからない。そこで私の『FUTON』では妻を「美穂」と名付け、妻の視点から描くことにしました。

          続きは本紙で...


なかじま きょうこ

1964年、東京都生まれ。大学卒業後、日本語学校や出版社で働き、フリーのライターに。「主婦の友社」で編集の仕事をした後、渡米して米国・ワシントン州でインターンシップ・プログラムに参加。39歳の時に『FUTON』で小説家デビュー。

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