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インタビュー

子宮頸がんワクチン薬害訴訟原告

酒井七海さん

  • 2016.9.5
  • 聞き手…柏原登希子
  • 撮影…落合由利子

 酒井七海さん

副反応数一つ一つが一人一人の人間

 

 「たった何ミリかの液体。でもそれで人生が変わりました」

子宮頸がんワクチン被害者63人が、国と製薬会社を相手に全国で一斉に提訴した7月27日。東京訴訟の原告の一人、酒井七海さん(当時21歳)はマイクを握り、報道陣をまっすぐに見据え、訴えた。手足が思うように動かず、外出には車いすが欠かせない。筋緊張、脱力、頻脈、月経停止、倦怠感、高次脳機能障害、視野欠損…現在七海さんが抱える症状は多岐にわたる。

 

「私たちの人生はこれからです。しかし、今の私は一人で行動することができず、定期的に遠方の病院にも通わなければなりません。自分身体がどうなっていくのか、今後働くことができるのか、先が見えません」。七海さんたちは、責任の明確化、医療支援や就学・就労支援などの恒久的な救済、再発防止策を求めている(3面)。

子どもの頃から元気いっぱいで、小・中学校ではピアノの演奏に魅力を感じ、中学2年生の時、埼玉県のピアノコンクールで金賞を受賞した。元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの活動に感銘を受け、「困っている人を助けたい」と弁護士を目指していた。高校入学後は学校行事、委員会活動、語学研修などのほか、琴部の練習に励んだ。  高校1年の終わりに子宮頸がんワクチンを接種した。市から案内が届き、学校の黒板にもチラシが貼ってあり、同級生も次々受けていた。がんを防げるならと思い、接種を決めた。

2回目の接種をした翌日の夜、入浴後に突然失神し、40度の高熱が出た。それ以降もさまざまな副反応症状が出て、悪化した。歩行障害、失神、全身の脱力、記憶障害、漢字や図形が分からない…。高校3年の12月からは入退院を繰り返し、浪人して予備校生になるも、座位を保てず、入浴もトイレも母の介助なしではできなくなり、予備校にも通えなくなった。友人は進学などで自分の人生を歩んでいく。「記憶障害もあり、将来に対する焦りも感じなくなってたんです。そのほうが異常だなって今は思うんですけど」

          続きは本紙で...


さかい ななみ

1994年生まれ。埼玉県在住。県立高校に在学中、子宮頸がんワクチンを2回接種。その後、副反応の重い症状と闘いながら2浪の後、私立大学に進学。現在は、毎日送迎してもらい、大学では障害学生のためのノートテイクや教室移動などのサポートを受けながら勉強中。

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