今年度新しく登場した中学歴史教科書に注目だ。あるページを開くと、19世紀末から20世紀前半にかけて世界の女性たちのファッションが、体を締め付ける服から活動的なものへと変化していく様子が一目でわかるようになっていた。
その教科書には、倭国で最初の仏教指導者が女性だったことや、18世紀、「独立宣言」後のアメリカで、「奴隷制度は州憲法違反」と訴えたエリザベス・フリーマンなど、今まで光が与えられていなかった女性たちも紹介されている。
従来とは違い、女性がたくさん登場するこの教科書は、「学び舎」発行のもの。執筆・編修は、「子どもと学ぶ歴史教科書の会(以下、学ぶ会)」。元・現職の教員たちが編集・発行したものとして話題になっている。ジェンダー視点を盛り込むことに尽力した執筆者の一人が「学ぶ会」副代表の山田麗子さんだ。
1960年代後半、ベトナム戦争が起き、反戦運動のうねりの中で、高校生だった山田さんは戦争や社会の矛盾、男女のあり方を考え始めた。その頃の女性史ブームにのり、高","たか群逸枝などの女性史本を貪るように読み、祖母や母親のように、夫と対等になれず、制約の多い女性の生き方は、近代につくられたと知り、腑に落ちた。女性史は〝女の自立〟や生き方を示唆してくれた。父親が「教師は人の成長を見守る理想の仕事だね」と言ったことが発端となり教師を目指す。念願がかない中学校の教員に。歴史が好きだから自然に社会科教員になっていた。
教師の仕事は楽しかった。けれど授業では、あることが気にかかっていた。 「歴史の授業では、最初は熱心だった女の子たちがだんだんしらけてくるのがわかるんですよ。女性が登場しないから」
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