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インタビュー

飯舘村から福島市へ移転の「椏久里珈琲」

市澤美由紀さん

  • 2016.5.5
  • 聞き手…清水さつき
  • 撮影…石田貴美恵

 市澤美由紀さん

珈琲を淹れながら、居場所を作る

 

福島原発事故により全村避難になった福島県飯舘村でカフェ「椏久里珈琲」を営んでいた市澤美由紀さんとは、2013年秋に郡山で開かれた「ふくしまオーガニックフェスタ」で初めて会った。今年3月、福島市内に移転した椏久里を訪ねた。香り高くも後味すっきりで透明感あるコーヒーを飲みながら、閉店後の店で話を聞いた。

 福島県国見町で育った市澤さんの生き方の原点は、高校の合唱部に所属していた18歳の時。デンマークで開かれた世界青少年音楽祭に日本代表として出場するため、一カ月ほど滞在したホームステイ先の夫婦との出会いにある。共に仕事を持ち、家事もし、夜は夫婦でコーヒータイム。自分の育った環境と比較して新鮮に感じ、「こういう結婚をしたい」と心に決めた。

 

県内の短大を卒業して県の農業改良普及所に就職。飯舘村の担当になり、研修先が後に夫となる人の家だった。夫の父から「結婚相手の候補にぜひうちの息子も」と猛烈に請われて結婚。

 

一方、生活改良普及員として農家を回り、農村の女性たちとも話すことで、女性の経済的自立を考えるようになる。農家の女性は身を粉にして働いても自由になるお金は持てず、財産もない。「農業経営者の集まりで、後継者に給料を払えるようでないと経営者の資質がない、それに加えて嫁にも給料を、と話していました。だってこれは人権問題ですよ」

 

義母に2人の子どもを預けて働いていたが、3人目を預けるのは気が引けて、10年勤めた仕事を辞めた。自分の給料を手放すことは残念だった。子育てと家事をしながら農業を手伝っていたので、「『手伝った分の賃金がほしいと妻が言うんだけど』と、夫から親に話してもらったら、びっくりされましたね」。

       続きは本紙で...


いちざわ みゆき

1958年、福島県国見町生まれ。「椏久里珈琲」は飯舘村で2011年4月まで19年間続け、福島市内での営業は今夏で5年となる。『山の珈琲屋飯舘 椏久里の記録』(言叢社)は夫と共著。店の情報とコーヒー豆の通販はウェブサイトから。

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