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インタビュー

『原発労働者』の著者

寺尾紗穂さん

  • 2016.4.15
  • 聞き手…竹内絢
  • 撮影…落合由利子

寺尾紗穂さん

(c)落合由利子

「人ごと」から「わがこと」へ

 

「今この瞬間も、わたしは人を踏んづけて生きている」

ピアノ弾き語りの音楽家であり、文筆家でもある寺尾紗穂さんは、踏んづけている人と踏んづけられている人の境界線は、実は曖昧だ、という。

 「みんな違ってでこぼこしてるけど、本当はおんなじで『どんぐりの背比べ』みたいな感覚は小さいころからずっとある」

  寺尾さんは6人の原発労働者に話を聞き、昨年6月に『原発労働者』を上梓した。3.11後にイチエフに入った1人を除き、5人は平時の原発を知っている。寺尾さんは「平時の原発労働」にこだわった。

2010年のある日突然、「原発で働く人も被ばくするって本当かな」と気になった。それまで、原発で事故が起きたら危険だとは理解していたが、現状は頼らざるを得ないのだろうと思っていた。尊敬してやまない音楽家の大貫妙子さんの六ヶ所村再処理工場の中止を訴えるインタビュー記事を読んでも、それ以上深入りすることはなかった。

インターネットで見つけた労働者の手記を読み、想像以上に深刻だと知る。その人はすでに亡くなっていた。すぐに、樋口健二さんの『闇に消される原発被曝者』(1981年、三一書房)を取り寄せ、原発での労働実態に無関心ではいられなくなった。

「樋口さんの本で知った事実がすごく重たくて。そこでもう決まった、という感じ」

        続きは本紙で...


てらお さほ

1981年生まれ。2007年にメジャーデビュー。最新アルバムは『楕円の月』。著書に『評伝 川島芳子』(文春新書)『南洋と私』(リトルモア)など。現在、本の雑誌ウェブで「わたしの好きなわらべ歌」、平凡社ウェブで「山姥のいるところ」、文芸誌「すばる」で「あのころのパラオを探して」を連載中。

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