アジアに広がる女性たちの連帯
山川菊栄賞の受賞者で、若手中国研究者の大橋史恵さん。本紙連載「中国『半辺天』の現在」(2012年7月25日号~10月25日号)で、中国女性の活動を紹介し、アジア女性資料センターの機関誌「女たちの21世紀」の連載エッセイ「中国フェミ的見聞録」も好評だ。日本でほとんど報道されない中国の元気な女性の姿を伝えているが、そもそも中国の女性になぜ関心を持ったのだろう。
高校生の時、交換留学で1年間ニュージーランドへ。日本による侵略の話を祖父母から聞いて育ったというアジアの留学生たちと出会いショックを受けた。アジアについてもっと勉強しよう、それには言語からだと外語大で中国語を習得。大学4年生の時、中国で家事労働者が増加していることが気にかかった。これを研究テーマに大学院に進み、2005年に1年間、中国に留学。外国人の立場で社会調査をすることには困難もあったが、知人からの紹介などで、北京で家事労働をする女性たちにインタビューを重ねた。
2000年前後から、中国の都市部では農村女性を「お手伝いさん」として雇用する家庭が急増。都市の共働き世帯の家事・育児の困難さなどさまざまな要因があり、農村では、経済的エンパワメントとして女性を都市へ送リ出す取り組みを始めていた。農村女性たちは〝出稼ぎ〟で現金収入を得られるが、参入できるのは不安定で賃金が低く、都市の人が忌避する仕事…。そこに家事労働があった。
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おおはし ふみえ
1978年、愛知県生まれ。武蔵大学社会学科教員。専門は現代中国、ジェンダー研究。著書に『現代中国の移住家事労働者 農村‐都市関係と再生産労働のジェンダー・ポリティクス』(御茶の水書房)」ほか、共訳書に『性からよむ中国史 男女隔離・纏足・同性愛』(平凡社)。