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インタビュー

映画『外泊』の監督

キム・ミレさん

  • 2015.3.15
  • 聞き手…清水さつき
  • 撮影…宇井眞紀子

キム・ミレさん

抑圧された女の歴史が映画に被る

 
  • 映画『外泊』(2009年)は、ソウルの大型スーパーでレジを打つ非正規の女性労働者たちによるストライキを描いたドキュメンタリー。監督のキム・ミレさんは11年の上映ツアーで日本各地を回り、多くの女性たちの熱い共感を生んだ。
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  • 映画を撮るようになったのは、夫との別居と父親の仕事、それにカメラの小型化が大きく影響した。  結婚して家事を押しつけられ、夫の帰宅時間を気にして好きなこともできず、子どもが生まれても協力しない、そんな夫に見切りをつけて、両親の家に戻った。1999年のことで、韓国は当時不況のまっただ中。97年、国家破綻寸前の金融危機が起こり、政府は国際通貨基金(IMF)の支援を要請して、構造改革の時代に入っていた。
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  • 建設現場で日雇い労働をしていた父親の仕事も減り、家にいることが増えた。「家長」として稼げない自分をふがいなく思っていた父親を見ていて、「仕事がないと、家族や世間から不当な扱いや差別をされ、しんどい思いをしている人がたくさんいる。父のような人を撮ったらどうだろうか」と考え、ビデオカメラを回し始めた。  趣味は映画鑑賞だったが、撮影を習ったことはない。ちょうど小型のデジタルビデオが登場し、比較的安価にプロ用機材が買えるようになっていて、社会問題をテーマに世界中でドキュメンタリー映画の撮影が増えた時代だった。しかし最初の映像は完成できず、対象は女性労働者に移った。
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  • 非正規への転換や解雇などで、女性の労働者こそ困難を抱えていた。撮影の経験も積んでいたところへ、女性の労働問題を取り上げていた人から「一緒に映像を作ってみない?」と誘われた。そして食堂の調理人、大学の清掃をする女性たちを撮り、彼女たちが闘っている姿を描いた『同行』(02年)など短編を制作した。  3作目で初の長編『労働者だ、ちがう』(03年)が海外の映画祭で受賞し、「映画として見てもらえる作品」を意識するようになった。父を撮った作品は、その後映画『土方(ノガタ)』(05年)として完成させた。
  • 続きは本紙で...


    キム ミレ

    1964年、韓国・忠清北道生まれ。中学生の時、学校の映画鑑賞で“イギリス人将校とアイルランド女性がダブリンで恋に落ちる”映画を見て以来、映画好きに。お気に入りはイラン映画『友だちのうちはどこ?』。『外泊』のDVD購入は、「連連影展FAV 外泊」で検索。

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