保護者の思いを自分たちの言葉で
子ども時代は学校や先生が嫌いだった。
「正義ぶったことを言うくせに、結局は成績でしか子どもを評価できないやん、と(笑)」
そんな大前ちなみさんが、結婚して3人の子どもの母親になった。そして一番上の子が小学3年生、2番目の子が小学1年生になった2012年、橋下徹大阪市長が誕生する。直後から「国際競争に勝つ人材づくり」と銘打って学力テストの点数を学校別に公表するなど次々と「教育改革」を打ち出してきた。
「そうしたら教職員の方たちが〝大阪の教育が危ない〟と騒ぎ出したんですよね。私も橋下さんの言う〝教育改革〟がまずいのはよくわかります。でも反対!と大声を上げるばかりの対抗の仕方にも違和感があって」
違和感を抱いたのは、自分たちがやってきた〝教育〟こそが正しいかのような主張だった。大前さんが小中学校時代を過ごした1980年代、大阪の公立学校では人権教育が盛んに取り組まれていた。しかし大阪市内に育った大前さんには、考える前に〝答え〟を与えられ、押し付けられたという記憶が強く残っていた。「たとえば血液型占いで他愛なく盛り上がっていたら、〝血液型で人を判断するのは差別だ!〟と教員がいきなり話に割り込んできて頭ごなしに否定する。子どもなりに傷ついたり傷つけたりしながら学んでいく過程を信じて待てずに、最初から断罪するようなやり方に対して、子ども心に〝デリカシーがないな〟と。かと思えば、作文を書かせて〝いいこと〟書いたらすごく褒める。人権人権といっても、〝これはいいけど、あれはダメ〟と子どもをコントロールするような教育なら、橋下さんのやろうとしている教育改革と本質は同じじゃないかと思うんです」
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おおまえ ちなみ
1971年生まれ、大阪、京都育ち。大学卒業後、“団塊ジュニア世代一期生”として大変な就職難を経験する。ウェブサイト http://hogosyanet.web.fc2.com/
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