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インタビュー

企業と人権CSRの橋渡しをする

菅原絵美さん

  • 2013.09.05
  • 聞き手…社納葉子
  • 撮影…香西ジュン

菅原絵美さん

戦争をなくす一歩を企業とともに

 「5歳の時、〝私は戦争をなくす人になろう〟と決めたんですよ」。少し照れながら、でも真っすぐに、菅原絵美さんは話しだした。  通っていた保育園で読んでもらった絵本『おこりじぞう』。広島に原爆が落ちた直後、幼い女の子が苦しみながらお地蔵さんにすがり、水を欲しがる。爆風で逆さに転げ、ふっくらした笑顔が怒りの表情へと変わったお地蔵さんの目から涙が流れた。その涙を飲んだ女の子はかすかな笑顔を見せて死んでしまう。穏やかで優しさに満ちた生活が一瞬にして地獄へ。そのギャップの激しさに泣きじゃくり、保育士を困らせた。  国連職員を目指して大学に進む。法学部で学び、国際人権法のゼミを選択。2年目に与えられたテーマが「企業」だった。「国際法で企業?と最初は思いました。でもアフリカの紛争の資金源がダイヤモンドで、多国籍企業と結びついているのを知り、これだと」  学べば学ぶほど、「戦争をなくす」ことがどれほど困難かを突きつけられるばかりだった。「絶望しかけていたところに〝企業〟という視点を得て、少なくとも負の連鎖は止められるかもしれないと考えたんです」  その頃、ミャンマー(ビルマ)では軍事政権による少数民族への人権侵害が国際的に批判を浴びていた。NGOを中心に、現地に進出している企業から投資を引き揚げさせようという運動が行われていた。その数年後、たまたま参加した集まりで、1人の男性が「数年前、うちの会社がミャンマーに進出したんだけど、悪しきNGOに追い出されたんだ」と話し始めた。「悪しきNGO」という言葉にハッとした。「ミャンマーでの投資の何が問題とされ、なぜ撤退を余儀なくされたのか、企業の人には何も伝わってなかったんですね」。批判やボイコットという力技で投資や事業をやめさせても、企業には恨みの感情しか残らない。  「糾弾型のアプローチも必要。でも同時に、何が問題なのかを話し合う対話型や、好事例を交換して学ぶ学習型も必要だと思うんですよ 続きは本誌で...


すがわら えみ

1980年、新潟県生まれ。大阪大学などで教える。グローバル・コンパクト研究センター代表。現在は、著書『人権CSRガイドライン企業経営に人権を組み込むとは』(解放出版社)の第3版にマイノリティー当事者の視点を入れるべく、聞き取りに取り組んでいる。

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