WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

写真家で『女ノマド、一人砂漠に生きる』著者

常見藤代さん

  • 2013.04.15
  • 聞き手…柏原登希子
  • 撮影…落合由利子

常見藤代さん

女ノマド(遊牧民)に魅せられて

 真っ青な空、荒涼とした砂漠で、家畜の頭蓋骨を頭に載せ、ニッタリと笑う老婆(実際は56歳)が写っている本の表紙が、書店の中でひときわ目を引く。表紙の人はサイーダ・スリマンさん。7頭のラクダと、エジプトの砂漠で一人暮らす「女ノマド(遊牧民)」だ。10年にわたってサイーダさんの元に通って共に生活し、その暮らしや本音をつづったのが、本紙1面の写真家である常見さん。砂漠で生活なんて過酷では?と尋ねると、「そうねえ…」と常見さんはいたって涼しい顔。おっとりした、控えめな話しぶりからは想像できない行動力が、常見さんとサイーダさんを結びつけた。  勉強一筋だった常見さん。引っ込み思案で友だちもいない生活。大学に入り、そんな自分を根底から変えたくて、授業の中でたまたま興味を持ったインドネシアに、半年間大学を休学して乗り込んだ。27軒もの民家に招かれながら旅をし、そんな自分に驚いた。旅の間写真を撮り、文章をつづったことで、「フォトジャーナリストになりたい」と心に誓う。  3年間の会社員生活で写真講座に通い、「テーマを探しに行こう」とアジア・中東・アフリカの放浪の旅へ。中でもイスラム圏の国は、知り合ったばかりなのに家に招待されて食事をもてなされるなど、人の心の温かさや安堵感を感じた。「日本で知る怖いイメージと違う。イスラム社会を伝えたい」。放浪を始めて10カ月、着いたその日に住みたいと思ったエジプトで1年間アラビア語を学んだ。  帰国し、テーマをしぼりたいと思っていたころ、昔に見た、ラクダに乗って颯爽と砂漠をわたる遊牧民女性の写真集を思い出した。「遊牧民に会いたい」。エジプトの遊牧民ホシュマン族についての本を見つけ、著者にメールを送ると、族長を紹介された。早速飛んで行った。エジプトでは1997年ごろから砂漠に雨が降らないため、家畜が育てられず、遊牧生活をやめて定住地に住む遊牧民が多い。常見さんは「昔ながらの遊牧民の生活が見たい」と頼み、族長にサイーダさんを紹介された。 続きは本誌で...


つねみ ふじよ

1967年、群馬県生まれ。2006年東京・新宿にてサイーダさんをテーマとした写真展を開催、以後全国各地で開催。11年「開高健ノンフィクション賞」最終選考ノミネート、12年「旅の文化研究奨励賞」受賞。著書に『砂漠のサイーダさん』(福音館書店)

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