WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

市場で働き、被災地の言葉を伝える

伊藤エミ子さん

  • 2013.04.05
  • 聞き手…清水さつき
  • 撮影…落合由利子

伊藤エミ子さん

燻製の煙で復興の後押しを

被災地の市場で働き、地元のさまざまな活動に関わっている伊藤エミ子さんに話を聞きたいと、三陸への玄関口の一つ、岩手県の宮古駅にほど近い市場を訪ねたのは、今年の3月11日だった。  毛糸の帽子とエプロン姿で立ち働く伊藤さんは、生き生きとして格好よかった。店には「冷燻法」で作る燻製類が並べられ、包装には「担当 伊藤エミ子」と書かれている。伊藤さんの表情にも自負が感じられた。  前日は春の嵐のような風が吹き荒れていた。その風の中を、伊藤さんは仕事を早く切り上げて、震災直後の13日に歩いた道を辿っていたという。「電線が揺れる様子が、地震の時に見ていた光景に似ているんです。あの風はまるで亡くなった人の叫びのようでした。写真を撮ろうと思ったんだけど、後ろから押されてシャッターが切れないの。そんなことってあるんだなーって思いました」  宮古市の海沿いの町、鍬ヶ崎に生まれた。高校卒業後は東京で染色を学ぶ。宮古に戻って結婚。海産物店で働くようになる。伊藤さんは鮮魚の荷卸しもし、刺し身もつくり、加工もする。顧客情報を整理し、得意客に季節商品を提案するなど、アイデアを出し、現在は顧客にも店にも頼られる存在だ。  40代半ば、家族のこと、仕事の過労などを抱え悩んでいた時期に、中学の同窓会の記念誌作りに関わることになった。さまざまな時代の写真を探し、恩師や全国に散る同窓生と連絡をとり、編集会議に加わった。「これが自分が動きだすきっかけになったんですね」。同級生との交流により、友人も増えた。  離婚してシングルマザーに。自由な時間ができたことで、開かれた発想もできるようになった。「目の前が明るくなりました! お天道さまってこんなに明るかったんだって。人生観が変わりましたね」  その後、沖縄や海外の女性と交流し、信念や展望を持って活動していることを知って刺激を受け、伊藤さんの活動の幅も広がった。 続きは本誌で...


いとう えみこ

1948年生まれ。岩手県宮古市在住。3番目の子どもが保育園の時、34歳で地元の鮮魚海産物専門店に就職し、以来30年働いている。2000年から宮古市在住者の岩手県男女共同参画サポーターグループをつくり、01年から「あじさいの会」として活動を続けている。

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