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インタビュー

滞日外国人2世の声を伝える「媒介者」

落合知子さん

  • 2012.12.05
  • 聞き手…社納葉子
  • 撮影…谷口紀子

落合知子さん

「違う」ことの可能性を開く社会へ

 この秋、1冊の本が生まれた。『外国人市民がもたらす異文化間リテラシー NPOと学校、子どもたちの育ちゆく現場から』(現代人文社)というタイトル通り、著者である落合知子さんが10年近くベトナム難民の子どもたちを中心にフィールドワークをし、こつこつと拾い集めた声とともに、日本社会に生きる外国人の人々が持つ力と可能性について考察した労作である。  もともとは国際協力に関心があった。関東に生まれ育ち、大学院卒業後は海外青年協力隊に参加、ケニアで2年を過ごした。帰国後はNGO職員となり、大学の同級生だった人と結婚し、女の子を出産した後も精力的に働いた。2人目の娘が生まれた直後、夫の関西転勤が決まる。迷いもあったが、家族4人でなじみのない土地に移り住んだ。そして兵庫県神戸市の大学院に入り直し、研究活動を再開した。  研究しながら子育てするうちに、日本の学校がとても息苦しいのに気付いた。「違う」ことに敏感に反応する子どもたちと、周りと同じであることに腐心する親たち。標準語を話す落合さんの娘もクラスに「なじむ」のに苦労した。  「この同化圧力は何だろう」。母親として揺れながら、研究者として探究心に火がついた。  「自分が取り組むべきテーマは遠いところではなく、足下にあるのではないか」。研究の先輩に相談すると、「神戸には長田があるよ」と教えてくれた。  神戸市長田区は、古くから多くの外国人が住む町である。かつて栄えたゴム産業やケミカルシューズ産業を支えたのは朝鮮半島から渡ってきた在日朝鮮人の人々であり、1980年代からは難民として来日したベトナム系の人々が集まってきた。物価が安く、教会もある。ベトナム難民の人々のコミュニティーができ、2世となる子どもたちが生まれ育っていた。強い同化圧力が働く日本の学校で、異なる文化をもつ子どもたちはどう育っているのか。それを丁寧に調査した研究はまだ少なかった。  「これだ」。落合さんのテーマが定まった。 続きは本誌で...


おちあい ともこ

1967年東京都生まれ。青年海外協力隊、国際協力NGO民際センター専従職員など国際協力現場の活動を経て、現在研究を続けながら、大学や高校で非常勤講師、スクールサポーター。共著書に『異文化との接点で 草の根協力の最前線から』(時事通信社)。

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