WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

韓国美術・文化研究者

古川美佳さん

  • 2012.04.25
  • 聞き手…栗原順子
  • 撮影…落合由利子

古川美佳

民衆美術の底力が社会を変える

2010年8月15日号の本紙で、韓国の画家・洪成潭さんの作品「靖国と軍慰安婦」を紹介する折、コーディネートをお願いしたのが古川美佳さんだった。韓国の民主化運動と呼応した「民衆美術」に造詣が深い古川さんにインタビューしたいと思っていたところ、偶然にも今年3月に東京で開かれた、洪さんの版画展でかなった。  古川さんは版画展を企画した一人。会場の練馬区のブレヒトの芝居小屋には、光州民衆抗争(=光州事件 1980年5月、韓国・光州市で、民主化を求める市民に戒厳軍が発砲し、多数の死傷者が出た)を刻印する50点もの洪さんの「5月連作版画」と、作品ごとに添えられた洪さん自身の詩が展示され、訪れた人に深い感銘を与えた。  「私たちが作品に共鳴するのは、これらの版画と詩が時代や国を超え、人間の本質的なありようを表現しているからでしょう。洪さんは投獄されながらも、真実を隠蔽する国家暴力に屈せず、〝光州〟で生まれた市民の〝抵抗の共同体〟を描いた。それは、3・11後の〝がんばろう、ニッポン〟のような、真実を覆い、黙認することでつながる絆やご都合主義の共同体とは対極にあるものだと思います」  古川さんが韓国美術に携わったきっかけは、もう一つの肩書「煎茶道清泉幽茗流副家元」にある。母親が家元のため、幼いころから煎茶道を学び、現在は、副家元として宮城や山梨、都内の教室で指導している。87年に、日本・韓国・台湾の茶道の交流会で、初めて韓国を訪れ、人々の温かさ、そして慶州の仏国寺や古墳の美しさに震えるほどの感動を覚えた。それは「悠久の流れの中で育まれた無言の知恵と、作為なき美への衝撃だった」という。  その後「民衆美術運動」と出合い、「自分が日本で享受していた美術とはいったい何だろうか」と疑問がわくようになる。 続きは本誌で...


ふるかわ みか

1961年、東京都生まれ。女子美術大学非常勤講師。煎茶道清泉幽茗流副家元。韓国・北朝鮮の美術、韓国仏教者たちの環境運動、茶道文化などについて、「世界」「BT/美術手帖」などで執筆。共著に『韓流ハンドブック』(新書館)など。

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