WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

農業ジャーナリスト

西沢江美子さん

  • 2011.07.05
  • 聞き手:鈴木京子
  • 撮 影:落合由利子

西沢江美子

運動は暮らしの知恵

今年2月、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加反対を訴えて全国から約100人の農業女性が埼玉県に集まった。  彼女たちは「少量多品目の農業を守って5人家族で年500万円の農業収入をめざす。それ以上は要らない」「戦争・軍事基地と農業は相いれない。百姓女として生きることは戦争をなくす道でもある」など「5つの約束事」を掲げ、地元議会や首長に働きかけると同時に、地域での小集会を積み重ねている。  マスコミが報じないこのニュースをインターネット新聞で伝えたのが、日本農業新聞記者時代から半世紀近く、日本の農業と農村の問題に取り組んできた西沢江美子さんだ。  その西沢さんに、ぜひぶつけてみたい質問があった。なぜ提携産直運動や都会の女性運動は、農村部の女性が抱える問題の共有と社会化のためにもっと連帯できないのか―。  「それは都市の人の視点だね。両方で闘ってきた私には違う見え方があるよ」  高度経済成長が専業主婦を生んだ都市部と違い、戦後も農村部では漁業も商家も家族労働が続いていた。農村女性が「人間として」という言葉を手に「かっちゃ9時運動(女性も夜9時に寝かせて)」「タダ働き解消運動(世帯主以外にも報酬を)」など家庭の民主化に必死だったころ、都市の女性たちはもう人権という言葉を使わなかった。「フェミニズム運動は自分らしさを旗印にしたけれど、なぜ人間らしさという捉え方ができなかったのか。それは運動を担った『知的で素敵な女性』たちが農漁民女性に寄り添う目を持たなかったからではないか」  農村と都市の連帯という点で、西沢さんがもっとも強く思いを残しているのが1980年代の国際花嫁だ。都市部からは大きな批判の声があがったが、西沢さんは違う受け止め方をしていた。「『国際花嫁』の実態は出稼ぎであったと思う。中には〝安住の地〟に根付く人もいれば、一定の仕送りがすむと帰ってしまう人もいた。その背景にある問題を明らかにしないまま農村に押し付けて、封建的だと批判するだけでいいのか」  「背景にある問題」とは、村の営みを崩壊させようとしていたもの、つまり農政だ。
続きは本誌で...


にしざわ えみこ

1940年生まれ。母の故郷「貧しさと進学率が群馬県一」の村で育つ。祖母の「孫を新潟に嫁にやり一家で白米を食べる」貧困脱出計画は「8回お見合いしてみな断られた」。好きなものは岩山。妙義山反基地闘争で祖父と座り込みも。

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