WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

紙芝居劇「むすび」のマネージャー

石橋友美さん

  • 2011.06.25
  • 聞き手:社納葉子
  • 撮 影:谷口紀子

石橋友美

「ハッピーな未来」を見たいから

歩くのもおぼつかないおっちゃんたちが猫や女の子に扮し、手描きの紙芝居に合わせて台詞を言う。自分の出番を忘れたり間違えたりは想定内だ。時には炭坑節も飛び出して、会場も一緒になって手拍子を打ち、唄う。日本最大の寄せ場、大阪府の釜ケ崎で活動する紙芝居劇グループ「むすび」。石橋友美さんはマネージャーを務める。  10人前後のメンバーの経歴は、日雇い労働や職人、飲食店経営に公務員と多彩だ。しかしリストラや事業の失敗、病気などをきっかけに家族や故郷と離別し、職を失い、釜ケ崎に行き着いたところは共通する。  知り合いから「むすび」のマネージャーにと誘われたのは2005年。ちょうど何の当てもなく仕事を辞めたタイミングだった。「紙芝居劇は熱烈に面白いとも思わなかったけど(笑)、おっちゃんたちといると何か居心地がよくて」  しばらくたつと、違和感を覚えた。自分たちの活動なのに、自ら動こうとしない。「金をごまかしてるんちゃうか」と疑いのまなざしを向ける人もいれば、他の人と話すと焼きもちを焼いたりする人もいた。  「最初に活動を立ち上げた女性がスパルタ式にやっていたみたいで、私にも〝怖いおばちゃん〟を演じるのを求めているところがありました。一方で、恋愛や〝女性ならではの気遣いやお世話〟を期待しているところもあって」  「公演料を分配しろ」と迫ってくる人には、「いいけど、公演にも行けなくなるよ」と収支を見せた。恋愛を求めてくる人には、「私は男をつくりに来てるわけじゃない」と言い渡した。コーヒーを淹れることもカップを洗うことも「自分でやってください」で通した。小柄で柔和な笑顔と言動とのギャップにおっちゃんたちは戸惑い、怒り、やがて「こういう人やねんなとあきらめたみたい」と笑う。
続きは本誌で...


いしばし ともみ

1975年島根県生まれ。「むすび」は助成金と公演料で運営している。週2、3回、事務所に出勤。ほかに重度障害者のヘルパーの仕事で生計をたてている。20歳年上の夫と猫と暮らす。 「梵玉日記」
http://bontama.exblog.jp

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ