WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • ふぇみんの書評

ふぇみんの書評

小山さんノート

小山さんノートワークショップ 編

    小山さんノート
  • 小山さんノートワークショップ 編
  • エトセトラブックス2400円+10%
2013年に亡くなったホームレスの女性・小山さんは、日々の思いを綴った80冊を超える手書きのノートを遺した。本紙(22年4月5日号ほか)でも取り上げた「小山さんノートワークショップ」のメンバーが8年をかけて文字起こしをした1991年~2004年の記録(抜粋)が本になった。  芸術や文学を愛し、自由への大いなる希求を抱いていた小山さん。極貧苦、同居男性からの暴力、嫌がらせや排除の中、「私は私自身でありたい」と小山さんが「フランス」と呼んだカフェでの読書と創作で心を保ち、時に踊り、精神の大事な部分を誰にも明け渡さなかった。魂ごとぶつけて書いたような、独特で力強い言葉たち、そこから広がる世界の広さと深さ―。  メンバーのエッセイも収録。小山さんのどこに、どんな言葉に、あなたの心は共鳴するだろう?今後迷った時、美しい夕焼けを見た時、私は心の中に宿った小山さんに話しかけるだろう。本書を読むことは、そういうことだ。(G)

ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち

加藤圭木 監修 朝倉希実加、李相眞ほか 編

  • ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち
  • 加藤圭木 監修 朝倉希実加、李相眞ほか 編
  • 大月書店1800円+10%
『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』の続編である。K-POPや韓流ドラマなど、韓国文化は若者を中心に身近になったが、日韓交流や文化を消費するだけでは日韓の対立を乗り越えられないのでは―わき上がるいろいろなモヤモヤを皆で共有しながら、日本の植民地支配の歴史を学び、若者も加害性を問い続ける責任があるとした大学生たち。続編では、大学院生や社会人になった編者たちが、さらに学びを進めていく。  前著の反響や伝えきれなかったこと、この間の日韓の政治・社会の変化を見つめ、歴史否定論とジェンダー・バックラッシュ、天皇制などを深掘りしている。加害の歴史を教えている中学教師の平井美津子さんを迎えてのディスカッションや、韓国の「ナヌムの家」、京都・ウトロを訪れるなど、様々なフィールドワークも紹介。若者たちの率直な語り合いがとてもいい。社会を変えるために、歴史を学び、自由な発言の場をつくることの大切さをしみじみ感じる。(ぱ)

エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか

田中洋子 編著

  • エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか
  • 田中洋子 編著
  • 旬報社2500円+10%
「エッセンシャルワーカーとは、日常生活になくてはならない仕事をする人のことだ。ところが多くのエッセンシャルワーカーは非正規雇用であり賃金も安い。職場によってはその多くを女性が担って、男女の賃金格差にもつながっている。本書は、スーパーマーケット、外食チェーン、保育士、ごみ収集作業員などの多岐にわたるエッセンシャルワーカーのデータ分析と、当事者へのインタビューからその現状を明らかにしていく。なかでも日本と産業構造の似たドイツとの比較が興味深い。スーパーマーケットでの働き方は似ているが、ドイツではパートとフルタイムの給与や処遇の区別が存在せず、同一労働同一賃金を実現している。  賃金は上がらず、国際競争力も下がり続けるこの国で、新規に普及した現場で働く人にお金をまわさない仕組みと、正規・非正規の二元化構造を変える提言が、本書第5部で目を引く。(公)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ