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ふぇみんの書評

入管を問う 現代日本における移民の収容と抵抗

玉置太郎 著

    入管を問う 現代日本における移民の収容と抵抗
  • 玉置太郎 著
  • 朝日新聞出版1700円+10%
著者らは入管行政を根本から問い、マイノリティの移民が社会的・政治的に生きる社会を実現させたいと考えた。収容者の訴えがなぜ信用されないのか、収容者による抵抗活動などを解き明かし、どの視点も移民の立場に立っている。こんな議論を読みたかった。  国の意志が入る「不法移民」ではなく「無登録移民」と呼ぶべきこと。人間に備わる「諸権利」を持つ権利さえ奪われていて、「剥き出しの生」として生きざるを得ないこと。入管からの「報復」を恐れず、無登録移民たちはハンストやシットインを決行し、それが共感を広げ市民社会に密接に組み込まれ、生き抜くことにつながると、著者らは評価する。  最後の問い、「許可なく暮らすことは悪いことなのか」では、無登録移民側に発言権がなく非民主的であるなどと問題を指摘。この問いを咀嚼するためにはもっと議論したい。無登録移民の背後にどれだけ分厚い市民の支援があるか。市民の力も問われる。(三)

「市民活動家」は気恥ずかしい だけど、こんな社会でだいじょうぶ?

小竹雅子 著

  • 「市民活動家」は気恥ずかしい だけど、こんな社会でだいじょうぶ?
  • 小竹雅子 著
  • 現代書館1800円+10%
 福祉情報を発信する「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」を主宰し、本紙に何度か寄稿してくれた著者。生い立ちから、「障害児を普通学校へ・全国連絡会」や「市民福祉サポートセンター」等の活動を経て、現在の活動に至るまでの自伝的エッセイだ。活動の内容は各々重いのだが、料理や映画、絵画、音楽、漫画の記憶なども綴られ、気取りがないユーモア溢れる文章で楽しく一気に読んだ。  疲れたら活動を休んでもやめてもいいというゆるやかさをもち、基本的に自分は被差別者でなく差別する側にいることを自覚しつつ、理不尽なことには〈静かな怒り〉を続け、行政に物申すという著者。低姿勢で正義をふりかざさず、個人の経験や感覚を大事にし、発する言葉に説得力があり共感する。福祉向上のために、皆が声を上げるべきこの状況に、著者のような地に足がついた市民活動家の存在は信頼でき、欠かせない存在だ。(う)

自分で考え判断する教育を求めて 「日の丸・君が代」をめぐる私の現場闘争史

根津公子 著

  • 自分で考え判断する教育を求めて 「日の丸・君が代」をめぐる私の現場闘争史
  • 根津公子 著
  • 影書房2000円+10%
40年間の教員生活の後半で、著者は「君が代」不起立により11回もの処分(うち停職6カ月・3回)を受けた。女子生徒を空き教室に連れ込んで抱きしめても停職3カ月、生徒へのストーカー行為でも停職6カ月なのに、なぜか。それは、校長(←教育委員会←都道府県)の指示に(何も考えずに)従う教師しか要らないから。子どもを「自分で考え判断する」人間にさせたくないからだ。  停職中も校門前に「出勤」し、周囲との対話を続けた筆者は、生徒・保護者・同僚や一部のマスメディアから支援を受け、最高裁で一部勝訴。免職も免れ、2011年の定年まで辛うじて「逃げ切れた」。しかし〈新たな戦前〉とされるいま、自らの意思を表明する人への攻撃は激しさを増している。著者の闘いの軌跡をたどることで、「声をあげる」こと、そしてそれを「受けとめてくれる人」がいることの力を、再確認したい。(葉)
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