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ふぇみんの書評

宇宙開発戦争 〈ミサイル防衛〉と〈宇宙ビジネス〉の最前線

ヘレン・カルディコット、クレイグ・アイゼンドラス 著/植田那美+益岡賢 訳

  • 宇宙開発戦争 〈ミサイル防衛〉と〈宇宙ビジネス〉の最前線
  • ヘレン・カルディコット、クレイグ・アイゼンドラス 著
  • 出版社:作品社 価格:2,400円
 同調しなければ「KY」とでも言うようなロケット打ち上げをめぐる北朝鮮バッシングから2カ月。だが「KY」なのは、自国の宇宙軍事利用が他国に与える影響について思考停止している日本ではないか?
 本書は、ノーベル平和賞候補に選ばれた元医師の女性と、「宇宙条約」の草案作成にあたった米国務省出身の男性による共著で、米国が推進する「全方位支配」というマッチョな宇宙政策(ミサイル防衛システムなどの宇宙兵器の配備による陸・海・空・宇宙の掌握)を安全保障面と倫理面から鋭く批判し、外交と市民参加による宇宙の脱軍事化を提案している。 日本でも昨年5月に宇宙の軍事利用を合法化する「宇宙基本法」が成立、ミサイル防衛の強化や「敵基地攻撃論」が再燃している。宇宙にもナショナリズムを持ち込み、軍拡競争に励む人々の血圧を下げるためにもお勧め。植民地主義・新自由主義への射程が浅いのが残念。(な)

たいせつなことは…子どもと生きる「あなた」への手紙

青木悦 著

  • たいせつなことは… 子どもと生きる「あなた」への手紙
  • 青木悦 著
  • 出版社:けやき出版 価格:1,100円
 本紙の元記者で、「いじめ」など子どもたちの状況を取材・執筆、講演をしている著者のもとには子育て中の人から様々な悩みが寄せられる。本書はその悩みに、手紙で返信をした書簡集。手紙はメールより「真意を届けられるような気」がするという著者は、自分の子育て体験も交じえながら、それぞれの悩みや心のひだにやさしく寄り添い、問題点を丁寧に解きほぐし、洗い出す。そして「女」や「母」への社会からの歪んだ圧力と、本人が考えるべきことを分け、指し示していく。
 「子どものゲームをやめさせたい」「習いごとをさせることは当たり前?」「下の子どもが苦手」「学校の保護者会に行くのが憂うつ」「いじめられないようにするにはどうすれば?」…など子育て中の人なら誰でも一度は疑問に思うことばかり。女が自分の人生を生ききること、子どもがのびのびと人間らしく育つことを追求してきた著者だけに、「早寝早起き朝ごはん」や「いじめ」の考察は秀逸。(登)

ぼくが歩いた東南アジア

村井吉敬 著

  • ぼくが歩いた東南アジア
  • 村井吉敬 著
  • 出版社:コモンズ 価格:1,100円
 長年NGOに関わり、東南アジアに関する活動と研究を続けてきた著者が足で歩いてアジア各国の自然と人々の暮らしを見つめてきたフォトエッセイ集である。インドネシアに留学した1975年から昨年までの33年間にわたって撮り続けてきた膨大な写真の中から選ばれた326枚の写真は、どれもが一貫してそこで暮らす普通の人々への関心と共感であり、自然で気負いがない。立ち退きを迫られた女性が鉄条網内に入り込んでTシャツを売っている。竹編みのかごを背中からこぼれるほどに背負って運ぶ女性、軍政への抵抗デモをする夫を失った女たち。人力車「ベチャ」を運ぶ人の体からは、汗がほとばしっているようだ。ベチャが、車に取って代わられ、うち捨てられて山と積まれている…。
 写真の背後の時代状況や政治情勢、軍政や開発の問題点、ODAを始めとする日本の関与のあり方など、それぞれのフォーカスへの、著者ならではの語りが写真を立体化し、奥深くしている。(翠)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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