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ふぇみんの書評

オルタナティブ・メディア変革のための市民メディア入門

ミッチ・ウォルツ 著/神保哲生 訳

  • オルタナティブ・メディア 変革のための市民メディア入門
  • ミッチ・ウォルツ 著/神保哲生 訳
  • 出版社:大月書店 価格:2,880円
 欧米諸国のオルタナティブ/アクティビスト・メディアの変遷とその活動内容をまとめたもの。翻訳はインターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」の設立者。
 メディアは「コンテンツ(内容)」と「伝送路(コンテンツを受け手に届ける通路)」が両立して初めて成り立つ。ラジオ、新聞、ミニコミ誌、映像、インターネットなど、新しい技術の発達と低価格化によって個人が情報発信する可能性が広がり続けてきた。本書ではインターネットメディアの功績と利便性について多くのページが割かれているが、アフガニスタン女性革命協会(RAWA)の事例のように、情報発信する相手によってそのツールの使い分けが重要となる。 RAWAは、国内では役に立たないインターネットを国外との接触に活用している。匿名性が担保できるインターネットは、彼女たちの身の安全を守り、海外からの支援を可能にした。そのほか、チェルノブイリ事故の時に即席で作られた情報ネットワークや、フェミニズム運動におけるネットワーク構築など、個別の事例が盛りだくさん。(竹)

父ゲバラとともに、勝利の日までアレイダ・ゲバラの2週間

星野弥生 編著

  • 父ゲバラとともに、勝利の日まで アレイダ・ゲバラの2週間
  • 星野弥生 編著
  • 出版社:同時代社 価格:1,800円
 キューバ革命を成し遂げ、ボリビアでゲリラ活動中に殺されたチェ・ゲバラ。映画が作られるなど、その人気は衰えない。
 生誕80年を記念して昨年5月に来日したチェの娘、アレイダ・ゲバラさんは注目を浴びた。彼女は「ゲバラの娘」と言われることに関しては「キューバに愛され、キューバで育ったからその恩返しをしている」と言い「私は父の代弁をすることはできない」と一線を画するが、時には幼いころの父との思い出も語る。
 講演録はパワフルで希望に満ちている。本書はその抄訳であるが、どの講演会でも歌が飛び出し、陽気な踊りもあった。
 キューバでは医療はすべて無料で、苦しい財政状況のさなかでも、世界中に医者を派遣して医療支援を行っている。薬が不足すれば代替医療を研究した。ラテンアメリカからの学生を受け入れ、医師の養成学校を開設しているという。肥料不足も農業の見直しにつなげたという。
 またアレイダさんは日本の「後期高齢者医療制度」を心配する。
 キューバをはじめとしたラテンアメリカへの関心は、これからも高まると思われる。(衣)

なぜ無実の人が自白するのかDNA鑑定は告発する

スティーブン・A・ドリズィン、リチャード・A ・レオ 著/伊藤和子 訳

  • なぜ無実の人が自白するのか DNA鑑定は告発する
  • スティーブン・A・ドリズィン、リチャード・A ・レオ 著/伊藤和子 訳
  • 出版社:日本評論社 価格:2,000円
 弁護士でもある訳者は(2面登場)、日弁連が冤罪事件と認定する「名張毒ぶどう酒事件」(1961年)の弁護団の一人。死刑判決を覆す新たな科学的証拠を持って望んだ第7次再審請求が2005年に認められるも、翌年決定を取り消された。理由は「死刑になる重大事件に自白をするはずがない」。この自白偏重の決定に対し訳者は著者らによる「法廷意見書」を最高裁に提出。本書はそのもとになる著者らの論文と意見書などを収録。
 著者らは主にDNA鑑定で冤罪が証明された米国の125の事例をもとに、無実の人が警察の心理的テクニックでどのように自白に追い込まれるかを詳細に分析している。驚くのは虚偽自白の80%以上は殺人や強かんなど重罪事件に関してで、89%は自白までに24時間を要しない。しかも裁判官と陪審員は自白を有罪の証拠とみる偏見があり、虚偽自白者の80%が死刑を含めた10年以上の懲役を受けている。
 日本は最長23日間も身柄拘束して取り調べができる。裁判員制度が始まる前に必読の書。(登)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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