Political Criminology

国連人権委員会の死刑廃止に関する決議(翻訳)

(第53会期1997/12決議)

以下は、1997年4月3日にジュネーブで決議された、国連人権委員会における、死刑に関する決議の日本語訳(寺中訳)。


国連人権委員会は、

前文

生命権を保障した世界人権宣言3条、自由権規約6条、子どもの権利条約6条および37条aを想起しつつ、

死刑に関する1971年12月20日の国連総会第2857(XXVI)決議、1977年12月8日の国連総会第32/61決議、そして「死刑廃止にむけた市民的および政治的権利に関する国際規約第二選択議定書」を採択し、その批准、参加、署名を開始した1989年12月15日の44/128国連総会決議を想起しつつ、

また経済社会理事会の1971年5月20日1574(L)決議、1973年5月16日1745(LIV)決議、1975年5月6日1930(LVII)決議、1984年5月25日1984/50決議、1985年5月29日1985/33決議、1989年5月24日1989/64決議、1990年5月24日1990/29決議、1990年7月24日1990/51決議、1996年7月23日1996/15決議も想起しつつ、

さらに死刑および死刑に直面した者の権利の保護のための保護原則の執行に関する国連事務総長報告(E/CN.15/1996/19)が、死刑廃止に向けた明確な変化が見られると指摘したことを想起しつつ、

旧ユーゴスラビアとルワンダのための国際刑事法廷が適用できる刑罰から、死刑を除外したことを歓迎しつつ、

自由権規約委員会が、自由権規約6条についての1982年7月27日の一般的意見6の中で、死刑を廃止することが強く望まれており、死刑廃止のためのあらゆる手段は生命権実現への過程であることを確認するということから、条文中の諸規定は死刑廃止を目指すものであると述べたことを歓迎しつつ、

いくつかの国では、自由権規約や子どもの権利条約の規定による制限を無視して死刑が適用されていることを極めて憂慮しつつ、

死刑適用している国のいくつかは、経済社会理事会1984年5月24日の1984/50決議の付則となっている死刑に直面する者の権利保護のための保護原則を考慮していないことを憂慮しつつ、

死刑の廃止が人間の尊厳を広め人権の段階的な発展に寄与することを確信しつつ、

決議本文

1) 自由権規約第二選択議定書をまだ批准していない自由権規約の批准国すべてに、その批准を呼びかける。

2) 死刑をいまだに維持しているすべての国に対し、自由権規約と子どもの権利条約の定める義務にしたがい、極めて残虐な犯罪以外には死刑を適用しないこと、18歳に満たない者の犯行に対して死刑を適用しないこと、妊婦を死刑から除外すること、宣告された刑の減刑ないし恩赦を得る権利を確保することを求める。

3) 死刑をいまだ存置するすべての国に対し、経済社会理事会1984年5月24日の1984/50決議の付則となっている死刑に直面する者の権利保護のための保護原則を遵守するよう求める。

4) 死刑をまだ廃止していないすべての国に対し、死刑相当犯罪の数を段階的に制限するよう求める。

5) また、死刑をまだ廃止していないすべての国に対し、死刑を完全に廃止するという見通しのもとに、死刑執行の停止を考慮するよう求める。

6) 国連事務総長に対し、各国政府、各種専門機関、政府間組織、NGOと協議の上、死刑および死刑に直面する者の権利保護のための保護原則の執行に関する5年毎の事務総長報告への年次追加報告として、世界中の死刑に関する立法と実務の変化を、国連人権委員会あてに提出するよう求める。

7) いまだ死刑を存置する国に対し、死刑適用に関する情報を公にするよう求める。

8) この問題についての審議を、次期の第54期においても今回と同様の議事として継続することを決議する。

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