自治労音協通信

 4面  NO37号/00.1.1発行

☆音楽夜話 私とブルーグラス 第11話
 栃木県職労 松本 敏之

今回は、ブルーグラスとブルース(blues、何なら「ブルーズ」と言ってもいいです)との関係を書いてみます。というのは、ここ2週間ほど、クラシックやブルーグラスはほとんど聴かずに、ブルースやリズム&ブルース(ソウル)、それからブルースっぽいロックばかり聴いているからです。
ブルーグラスの父、ビル・モンローの手許にあるレコードを見ただけでも、「ワー・ユー・ゼア」(ブルーグラス・タイム)、「スイング・ロー・スイート・チャリオット」(ビーン・ブロッサム)とニグロ・スピリチュアルのうたがすぐ見つかります。それだけでなく、「ミュール・スキナー・ブルース」(ビーン・ブロッサム)はジミー・ロジャースのうたですが、題がそうだからと言うまでもなく、明らかにブルースを模倣しています。そのほかにも、「聞こえないのかい(Can't You Hear Me Callin')」(ビル・モンロー・グレーテスト・ヒット)はビル・モンローの作というクレジットですが、マック・ワイズマンのうたい方はブルー・ノーツを使って明らかにブルースを意識したものです。ビル・モンロー以外にも、例えば「アメイジング・グレイス」(例えば、オールド・タイム・ミュージック・アット・クラレンス・アシュレーズ)も黒人のゴスペルと白人のカントリー、ブルーグラス音楽に共通するものです。
逆に、たまたま私の手許にある「ビューティ・オブ・ザ・ブルース」(ソニー・レコーズ)というCDにある「神の王冠(ゴッズ・ゴット・ア・クラウン)」(アリゾナ・ドレインズ)といううたは、明らかに白人のカントリー(ヒルビリーとかマウンテン・ミュージックと言うべきか)とそっくりです。このアリゾナ・ドレインズという人は、ゴスペル・シンガーということになっているようですが。
ビル・モンローの伝記には、アーノルド・シュルツというブルース・マンが登場します。「もう一つの音楽上の強い影響は黒人の音楽である。この田舎ダンスめぐりの時にめぐりあった、地方では伝説的な男、アーノルド・シュルツというフィドルとギターをひく黒人に特に強い影響を受けた。田舎ダンスでビルはシュルツのフィドルの伴奏もしたのである。ブルーグラス音楽のシンコペイションを使った「ブルージィ」なフィドル奏法はもともとこのシュルツからビルが学びとったものらしい。シュルツは歌はうたわなかったが、ブルーズを口笛でよく吹いたという。ブルーズの影響はシュルツに限ったことではなく、ビルは畑で働く黒人たちが口笛でブルーズを吹くのをよく耳にする環境にいたという」(『ブルーグラス音楽』三井徹)。
何もビル・モンローに限らず、アメリカ南部は人種差別と人種対立が激しいとはいえ、結局は白人と黒人が一緒に生活していたのですから、音楽に交流があったのは、考えてみれば当たり前のことです。のちに、ロックンロールが「リズム&ブルースとカントリー&ウェスタンの合いの子」として生まれたと言われていますが、何もロックンロールを待つことなく、ブルースとカントリーはずっと交流していたのですね。エルヴィス・プレスリーもそういう環境の中で、当たり前にブルースやリズム&ブルースを聴いていたことでしょう。
最近、アレサ・フランクリンの「ゴスペル・グレイツ」というCDを買いました。一九七二年にロサンゼルスの教会でライブ録音したものです。最後の「アメイジング・グレイス」は圧巻です。機会があれば、このCDのことも書いてみたいですね。             

★北海道はど真ん中・上川町からのレター(その4)

練習の秘訣☆基本は体力と情熱!

北海道本部上川町職労 籠味 正樹

写真は演奏会でギターを弾く籠味さん

みなさんいかがお過ごしでしょうか。前回は、行きつけのスナックなどでのライブにふれましたが、もう少し、具体的な練習方法にもふれてみます。
ライブをやるということは当然、練習を伴います。個人練習は、自宅でできますが、メンバーが二人以上となれば、アンサンブルの練習をすることになります。そうなると、ある程度の音量が必要になります。
また、練習は深夜から明け方になるため、近所のことを考えると、大きな音は出せません。私の住んでる田舎町には専用のスタジオなどはありませんので、音響対策が大事な課題の一つです。
電気楽器の場合は、ある程度工夫することで音響問題を乗り切ることができます。私が実際にやっている方法を紹介しましょう。エレキギターは、アンプの音量を上げることにより、パンチのきいた「いい音」となります。
しかし、いい道具(エフェクター)が、たくさんあります。そのひとつが「アンプシュミレーター」というものです。実際にアンプを使わなくても、アンプを使っているような音を出すことができるのです。そのため、ギターもベースもアンプを使わないで、この「アンプシュミレーター」を通して、直接ミキサーに接続します。さらに、ドラムやキーボードなどさまざまな音が出る「音源モジュール」も接続し、コンピューターで自動演奏させます。
ミキサーからは、その場所で許される音量まで上げます。実際に私がスナックなどで練習するときには、一本5ワットのアンプ内蔵スピーカー2本だけです。これで充分なのです。また、それぐらい音量であれば、歌は、生声で充分です。
私がやっている音響対策は以上です。バンドメンバーの愛ちゃんはスナックで働いています。私の仕事が終わる時間帯から彼女の仕事が始まります。そのため、彼女の仕事が落ち着く深夜が二人の練習時間です。
練習日以外には、できるだけ体を休めて、栄養をとるようにしています。何事も基本は、体力と情熱でしょうか。


○メールアドレス
RXR01420@nifty.ne.jp
         

書 籍 案 内
=========================

あさと えいこ
安里 英子(沖縄県島袋郡在住)

 『琉球弧の世界』  
 
●定価二千四百円(税別)

九十年から九七年にかけて琉球弧の島々をまわり、共同体の精神的拠り所であるウタキを取材、「沖縄の聖地」と題して新聞に三百二十回の連載を行う。
この本は、著者から、沖縄に生きる人々に、沖縄の現在・過去・未来への道標を探る指標として贈られた、貴重なバイブル的な著作となるでしょう。

●御茶の水書房 TEL/FAX 03-5684-0751

エピローグの詩

安里 英子

 今 生まれたばかりの海と
小さな サンゴ島
白い砂丘に こんもり
アダンの森が ありました

 夕陽かがやき
サンゴの海と 風をバラ色に染めて

 風は砂丘を 吹き渡り
アダンは 微笑みをたたえて
葉を そよがせる

 無人の島
白い砂丘の アダンの森


by n.ogawa 98 .7.30石垣島


●目次ページに戻る

●タイトルページに戻る

●1面に戻る

●2面に戻る

●3面に戻る

●5面に進む