シオニスト・ロビーのメディア支配

イスラエル核疑惑国って何?


1998.6.3 入力

アメリカとフランス(イスラエル核開発技術協力)の実態の一部

『偽イスラエル政治神話』より抜粋。

アメリカのイスラエル=シオニスト・ロビー

 さて、以上のような[偽イスラエルの]神話は、なぜ、何百万人もの善意の人々の心の奥底に、抜き差しがたい信念として、深く根を張ることができたのだろうか?

 それは、政治家の活動に影響を与え、世論を操作することが可能な、最強力の“ロビー”を作り上げたからである

 ロビーは、その活動の方式を、それぞれの国の事情に合わせている。

 アメリカには、 600万人[総人口の 4%弱]のユダヤ人が住んでいる。“ユダヤ票”は、決定的な影響力を持っている。なぜなら、棄権は増大する一方であり、2大政党の政策に大した違いがないから、選挙で過半数の票を確保するためには、小さな問題もおろそかにできないし、勝敗は、ほんのわずかの票差で決まるからである。

 その他にも、アメリカの軽佻浮薄な世論は、候補者の“ルック”[外観]や、テレヴィ写りの善し悪しに大きく左右されるので、後援組織の資金収集力と、政策の“マーケティング”[売り込み]能力とが問われる。

《1988年のアメリカの上院議員選挙では、 1億ドルの政治資金が必要だった》(アラン・コッタ『世界各国の資本主義の現状』91)

 アメリカの議会で公式に認められているロビーの中で最も強力なのは、 AIPAC(“アメリカ=イスラエル公事委員会”)である。

 イスラエルは、ロビーの厚かましい圧力の効能あればこそ、国連の目こぼしを受けられるのである。

 トルーマン(1947年連合国パレスチナ分割決議の際の大統領)は、選挙に勝つために将来の不安を棚上げにして、彼の後継者たちと同じ姿勢を示した。

 シオニスト・ロビーの勢力と“ユダヤ票”に関しては、トルーマン大統領自身が1946年、ある外交官たちの集まりで、つぎのように告白している。

《皆さんには申し訳ないが、私は、シオニストの成功を願っている何十万人もの人々の期待に応えなければならない。私の選挙民の中には、アラブ人は千人もいない》(『ローズヴェルトとイブン・サウド/中東のアメリカの友人たち』54)

 元イギリス首相、クレメント・アトリーは、つぎのような証言を残している。

《アメリカのパレスチナ政策は、ユダヤ票と、いくつかの大きなユダヤ人企業の献金によって、具体化された》(クレメント・アトリー『首相の回想』61)

 アメリカ議会のユダヤ・ロビーはワシントンで、イスラエルの武装強化を加速する上での重要な勝利を得た。20億ドルの援助の予算が、競争相手のアラブ・ロビーとの戦いに備えるという口実で成立したのである(『エルサレムの戦士』)。

 さらにウォール街のユダヤ人銀行による献金が、政府の援助に付け加えられた(『民族的連携と外交政策』およびアッバ・エバン『自伝』)。

 1981年12月14日、ベギンはゴラン高原を併合した。レーガンは、この新しい国連決議 242号への違反行為に抗議した。

 ベギンは反抗した。

《わが国はバナナ共和国か? 貴国の属国か?》[いつでもアメリカの言いなりになる中南米の弱小国とは違うという意味](『ニュー・リバブリック』82.6.16.)

 翌年、ベギンは、レバノンを侵略した。アメリカの統合参謀本部長、ヘイグ将軍は、この侵略に青信号を出した。ベイルートには、キリスト教徒の政府が実現した(『イスラエルのレバノン戦争』84)。

 アメリカ人で、この侵略を批判した者は少数だった。それは、イスラエル人がアメリカのヴェトナム侵略に対して取った態度と同様だった。

  AIPACスポークスマンは、自分と同様に侵略を容認している人々の戦略を、つぎのように説明した。

《われわれは、イスラエルへの支持を右翼から強めることを望んでいる。“ヨルダン川西岸”[不法占領地]で起きていることなどは気にせずに、むしろ、ソ連を相手にする人々と協力する》(『ロビー』)

 経済力は、その結果としての政治力とともに、何でも売り買いの対象となる世界の中で、ますます決定的となる。

 1948年以来、アメリカはイスラエルに、 280億ドルの経済および軍事援助を供給してきた(『タイム・マガジン』94.6)。

フランスのイスラエル=シオニスト・ロビー

 フランスでは、ただ一人、ドゥ・ゴール将軍だけが、あえて、こう明言した。

《フランスには、イスラエル支持の強力なロビーが存在し、とりわけ情報の分野に強い影響力を持っている。こう断言すると、何時でも、悪評を立てられる。しかし、この断言には、実際に、常に重要な真実の一部が含まれている》(「偏ったイスラエル支持」『パリジャン・リベレ』88.2.29.掲載記事)

 以後、フランス共和国の大統領候補者の誰一人として、所属政党の如何を問わず、ミシェル・ロカールからジャック・シラクに至るまで、ミッテランは言うに及ばず、メディアによる封土授与を得るためのイスラエル参勤交替を怠らなかった

 中心的な指導者たちが“ LICLA”(人種主義と反ユダヤ主義に反対する国際同盟)で構成されているメディアのロビーの影響力は、非常に強く、世論を思うがままに操っている

 フランスのユダヤ人の人口は、フランスの全人口の約 2%でしかないが、シオニストは、メディアの政治的な決定権を握るメンバーの多数派を支配している。テレヴィからラディオ、活字メディアの日刊紙であろうと週刊誌であろうと、映画に至っては特にハリウッドからの侵略までが加わっているし、出版を手中に収めて編集会議での拒否権を握り、“メディア”の財政的な摂政役の広告にまで、その支配が及んでいる。

イスラエル支持報道による事件の意味の逆転現象

 何よりの証拠は、メディアのほぼ全体に及ぶ横並び現象であり、イスラエルを支持する立場から、事件の意味が逆転して報道されている。典型例を挙げれば、メディアは、弱者の暴力を“テロリズム”と報道し、強者の暴力を“テロリズムに対抗する戦い”と報道するのである。

 虚弱なユダヤ人が、 PLOの背教者の手で“アキレ・ラウロ”号の船外に投げ出されると、これは確実にテロリズムであり、その報道には誰も異議を唱えられない。ところが、その報復として、イスラエルがチュニスを爆撃して50人を殺し、その中には何人かの子供までいても、これは“テロリズムに対抗する戦いであり、法と秩序の防衛である”と報道されるのである。

 あたかも、幕の陰に隠れたオーケストラの指揮者が振り回す細い指揮棒に従っているかのように、およそすべての“メディア”から、[中略]レバノンへの侵略であろうと、イラクの破壊であろうと、常に、まったく同じ音楽が流れ出てくる。

 以上で、「イスラエル核疑惑の間」の各頁は終り。