『NHK腐蝕研究』(5-2)

《あなたのNHK》の腐蝕体質を多角的に研究!
《受信料》強奪のまやかしの論理を斬る!

電網木村書店 Web無料公開 2004.1.5

第五章NHK《宮廷》の華麗なる陰謀を撃つ 2

NHK利権山脈・人脈の数々

 すでに飯田次男元広報室長には、何度も御登場願ったが、そのNCIA時代が最も華麗なヤクザ広報時代だった。

 とくに一九六〇年代は高度成長時代。なかでもテレビ産業は、ミッチーブームで天皇制のミコシかつぎ、軍人(自衛隊員)が花形選手の東京オリンピックで宇宙中継、等々のデカ版キャンペーンつき。視聴者数の伸びは、“ウナギのぼり”どころか“コイの滝のぼり”とさえいわれたものだ。

 当然、NHKの受信料収入もグングン増大。民放経営者がうらやましがって、「オレの局のプロレスで視聴者を増やしたんだから、受信料の分け前よこせ」などと、ごねたほどである。

 「日銭二億円」というのが当時のNHKの経済学的名称。一九六六年度の総収入は約七百八十八億円。わずか十年前には百三十七億円だったのだから、一挙に六倍の超々肥大化である。これでは“汚職”虫がつかぬ方が不思議なくらい。

 その時、“前田天皇”と呼ばれた会長の前田義徳は、大きくいって三つの大型汚職プロジェクトを仕組んだ。第一は、現在の代々木放送センター。第二は、全国の“難視聴対策・と称するネットワーク網と新局増設。第三は、現在の放送衛星につながるABU(アジア放送連盟)構想である。

 代々木センターでは、明らかになった差額だけでも約七億円だが、とてもそれだけのものではなかろう。国際級のコンピューターを導入した責任者、技術屋出身専務理事の松浦某は、IBM重役に天下ったが、これも小物。その他多勢の名はあがっているが、何といっても“ぬれ手にあわ”のボロモウケは、電機メーカーと建設業者。センター工事を一手に引き受けたのは、これも悪名高い間(はざま)組であった。

 それどころか、前田会長はアメリカにまで大盤振舞い。次の項でもふれる放送衛星打ち上げのアメリカ発注決定には、国内でも電機メーカーが猛反対。国会でも二転三転している。それを押し切った“時の首相”は、またしてもあの男。もう名前を書くのはやめた。“刑事被告人”としよう。

 もうひとつの有力な“政治利権”は、NHKそのものへの就職斡旋である。これが“票田”に結びつくこと、タコの足の如しといわれる。KDDのコネ就職も有名になったが、そのKDD社長として高名をとどろかせた板野学については、『人事興信録』を引いて、「二男は昭和二十八年生れ、NHK勤務」(『テレビ腐蝕検証』)といった例が紹介されている。しかも、これらに地方名士との電波免許の裏取引さえからむのだから、“主権者”は踏んだりけったりだ。

 NHKの職員数は、一九五五年には約八千五百人。それがいまでは約一万七千人。退職者の補充を考慮に入れると、一万人以上は確実に新規採用。しかも、これだけではコネをまかない切れず、ほかにも“臨時職員”が潜りこんでいるというから、大変な数になる。

 それらの金脈、人脈の利権連峰のなかでも、とりわけ目立ったのが、空飛ぶ汚職兵器のロッキード事件で“灰色高官”の名をほしいままにした“トミさん”こと橋本登美三郎。元朝日新聞記者で、奥方は元NHKアナウンサーである。NHK内に“青雲西湖会”数百人の後援会を持ち、永らく利権吸い上げと番組操作のパイプ役を果たしてきた。そのトミさんもついに落選。となれば当然、目白の闇将軍の鼻息をうかがいつつ、まずはポスト橋本への立候補者が先陣争いを始める。

 昨年のNHK受信料値上げに際して、自民党総務会の浜田、石原、玉置先生たちが、“公共放送の使命”について論陣を張られ、自民党総務会にNHKの会長らを呼びつけては凄まれた。それもこれも,巨億の予算あればこその話である。最近の千葉県川上知事“五千万円念書事件”でもそうだが、主流の自民党同士が利権争いをおっ始めると、これは汚ない。暴露合戦たけなわとなる。それにNHKでは、社会党上田議員を「議席」とよび、一本支持の組織決定で、組合員ばかりか上層部からも組織カンパを集める日放労があるのだから、話はこみいってくる。


(5-3)うごめく触手の影は宇宙に