『亜空間通信』2001.10.03:27号

来週国会で論戦の的となる自衛隊後方支援は米軍の下請けで密約の押し付け

送信日時 :2001年 10月 3日 水曜日 4:25 PM

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緊急協力要請!『亜空間通信』27号(2001/10/03)*2001.10/14.改訂
【来週国会で論戦の的となる自衛隊後方支援は米軍の下請けで密約の押し付け】

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 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 来週から始まる自衛隊後方支援の議論の前に、以下の資料の存在を広く知らせ、活用を促す為に、皆さんの御協力を乞い願う。

 先に『亜空間通信』23号【軍と軍の日米共同参謀組織の直接関係は1980年の米議会の約18か月前から】で紹介した米議会小委員会議事録の日本国民向けの核心部分は、自衛隊と米軍の直接の関係がすでに1978年頃から成立していた事実と同時に、その協力関係には密約が含まれるに違いないことを立証するものである。

 しかも、このB4判で本文が368頁の議事録は、いわば画期的なもので、多くの付録資料が含まれており、1970年代のヴェトナム戦争敗北後のアメリカが、1980年代から「力強いアメリカ」の再現へと向かう軍事予算請求の意味、狙いは石油資源地帯の確保にありが、巧まずして明瞭に表現されている。現在に続く石油マフィアの国アメリカの基本戦略を研究する上での基本文献である。

 なお、私の電網宝庫には以下の未完の連載、「最新!21世紀アメリカの世界戦略を考える」も入っている。そこに収めたペンタゴンの公表資料でも明瞭に「化石燃料の確保」が主眼となっている。

最新! 21世紀アメリカの世界戦略を考える

 上記の議事録は現在絶版で入手不可能だが、私は浜松町のアメリカン・センターで得たマイクロフィッシュの複写から300部の復刻版を作って普及し、現在なお数十部を所持している。これをもとにして、さらに記録を探索し、日米軍事関係の密約を追及する論戦が行われることを期待する。必要な方は電子手紙でaltmedka@jca.apc.orgまで申し込まれたい。実物と一緒に頒価3,000円と郵送実費500円の郵便振り込み用紙を送ることにしている。(2017.11.17注:現在品切れ)

 なお私は湾岸戦争以後、日本軍のカンプチア出兵が国会で議論されている時期に、この議事録を複写のまま、当時の国会議員、田、国弘の両氏に提供し、質問材料とするように求めたが、両氏はともに質問時間を獲得できず、願いは果たせないままになった。その後、私は、上記のごとく300部の復刻版を作ったのである。

 今こそぜひとも活用してほしいものである。なお、先頃問題になったガイドラインも、日本政府にではなくて米国務省から日本の外務省に、直接の事務連絡として通達されたものと聞く。まさに属国または代表権なき属州の実態である。当然、この「軍と軍の日米共同参謀組織の直接関係」の中で内密に作成され、属州たる日本の外務省に通達されたものに違いない。これこそが、下手な英語演説でアメリカ様に媚びを売る小泉首相や田中外相の命の綱の日米関係の麗しき実態なのである。

 以下、若干、前回の自動機械訳に手を入れ、英語と日本語を並べ直した。前回送信分には一部打ち間違えがあったが、煩雑を避けるために、いちいち訂正はしない。

U.S. SECURITY INTERESTS AND POLICIES
IN SOUTHWEST ASIA
『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』


HEARINGS
BEFORE THE
COMMITEE ON FOREIGN RELATIONS
外交関係の委員会の前のヒアリング
UNTED STATES SENATE

AND ITS
SUBCOMMITTEE ON NEAR EASTERN AND
SOUTHWEST ASIAN AFFAIRS

アメリカ上院と近東および南西のアジア政策に関する小委員会
NINETY-SIXTH CONGRESS
906議会
SECOND SESSION
第2会期
ON
U.S. SECURITY REQUIREMENTS IN THE NEAR EAST AND
SOUTH ASIA
近東と南アジアの米国の安全保障の上で必要とされる予算請求に関して
――――――
FEBUARY 6, 7, 20, 27; MACH 4, 18, 1980
2月6、7、20、27日; 3月4日、18、1980年
――――――
Printed for use of the Commitee on Foreign Relations
外交関係の委員会の使用のために印刷された

 

U.S. GOVERNMENT PRINTING OFFICE
米国政府印刷所
WASHINGTON : 1980
ワシントン: 1980年

57-944 O

[309-322頁] 以下の[ ] は木村愛二の註。

[以上の14頁の中に25箇所の削除された部分がある]

STATEMENT OF LT. GEN. P. X. KELLEY (USMC) COMMANDER, RAPID DEPLOYMENT JOINT TASK FORCE, ACCOMPANIED BY LT. GEN. RICHARD L. LAWSON, DIRECTOR, PLANS AND POLICY, ORGANIZATION OF THE JOINT CHIEFS OF STAFF

[USMCはUnited States Marine Corpsの頭文字で海兵隊]

緊急展開統合機動軍団所属の海兵隊司令官、P. X.ケリー中将が、統合参謀本部の作戦計画と政策部門の長官、リチャード.L.ローソン中将を伴って行った陳述

[314頁の36行~]

Senator PERCY. I wish you would give us that information [about our position in Pacific]. The source I used is a State Department source. I would appreciate verification of it.

パーシー上院議員:私は、あなたが我々にその [承前:太平洋の我々の位置付けに関 する] 情報を与えることを望む。私が使用したソースは国務省のソースである。私は、その詳細の確認をしたい。

[The information referred to is classified and in the committee files]

[言及された情報は機密文書であり委員会の資料ファイルの中にある]

Sanator PERCY. The Director General of the Japanese defense agency did express about whether or not we are, in the face of the Soviet buildup, leaving the Japanese in a vulnerable position.

Has the movement of 7th Fleet ships to the Indian Ocean in your judgement significantly weakened our position in the Pacific?

パーシー上院議員:日本の防衛庁の長官はかつて、我々がソ連の軍事配置の増強に直面する際、日本人を脆弱な位置に置こうとしているかどうかに関しての危惧を表明した。

 第7艦隊のインド洋への移動は、あなたの判断では、著しく太平洋における我々の位置を弱めたか?

General KELLEY. Well, Sanator Percy, there very difinitively is a weakning. But, I think the Japanese have to come to grips with the realization that they import 70 percent of their oil from the Middle East, and the consequences of our not doing that could be catastrophic. So I believe that the Japanese have come to grips with those kinds of realities.

ケリー中将:仰せの通り、パーシー上院議員、非常に明確に弱まる。しかし、私は日本人が、中東から石油の70パーセントを輸入している事実の確認と、我々がそれ [第7艦隊のインド洋への移動] をしなければ破滅的な結果を招く事態とを、しっかりと理解するに至ったと考える。つまり私は、日本人がそのような現実を、しっかりと理解するに至ったと信じる。

[315頁の8行~]

General LAWSON. Sir, I am the director of plans and policy for the Joint Chiefs of Staff. We have estalished about 18 months ago a direct relationship military-to-military with the Japanese Joint Staff.

ローソン中将:各位、私は統合参謀本部の作戦計画と政策部門の長官である。我々は約18か月前に、日本の統合幕僚本部との間に軍と軍との直接関係を確立した

Our original plans were to try to get some kind of understanding about where the Japanese forces were developing and how that development might be enhanced so that it was working for our mutual interests.

我々のオリジナルの計画は、日本の軍隊がどこに展開しており、また、どのようにすれば、その展開状況を我々の相互の利益のために増強し得るかについて、ある程度の理解を得ようと試みることだった。

Those discussions have proceeded to the point where we are bigining to open up discussions on both their force requirements which they might anticipate for defense of the home islands [deleted]. Within the last 3 1/2 months, we have opened up the scenario [deleted].

それらの議論は、彼らが日本列島の防衛のために想定する防衛予算請求と、[削除された] の双方に関して、我々の議論を開始する時点に達した。3か月半前から、我々は[削除された] の作戦案の作成を開始した 。

As I said, we are doing these [deleted] to get a feel for where it is they might be going and where their leadership may be suggesting that they might be provided forces.

前述のように、我々はこれらの [削除された] に関して、彼らがどのように遂行するか、また、彼らの首脳部が兵力の増強を如何様に提案するかについて、何らかの感触を得るために努力している。

The general essence of those talks, however, illustrates quite clearly, first, that they understand the increasing demands that have been made on the U.S. forces structure in the Pacific: [deleted].

しかしながら、それらの会談の全般を通ずる核心的な要素としては、第一に、彼らが、太平洋における米国軍の組織の [削除された] に関してなされた要求の増大を理解していることを、明白に示すものであった、

However, the search right now in Japan and its defense establishment I would say is to find the means by which they relay those needs to the electorate.

しかしながら、あえて言うならば私は、日本とその防衛力の確立に関する現下の調査の主眼は、彼らが有権者にこれらの施策の必要性を伝え得る手段の発見に置くべきで あると考える。

[Deleted.]

[削除された。]

 以上で引用終わり。

 以下は以上の記録の位置付けの詳細説明となる拙著とその抜粋。

以下は関係箇所の抜粋。

第三部:戦争を望んでいた「白い」悪魔
第九章:報道されざる十年間の戦争準備
(51)「イラク処分」への一本道は十数年前から敷かれていた

 一九七四年、フォード大統領は世界エネルギー会議の席上、石油価格上昇に関して、「各国民は歴史上、水や食糧、陸上・海上の交通路を求めて戦争に訴えてきた」と警告を発し、それを受けてアラブ諸国の新聞は「アメリカ、アラブに宣戦布告」などと論評した。二ヵ月後、アメリカはペルシャ湾で空母をふくむ八隻の艦隊による演習を、二週間にわたって繰り広げた。

 さらに、「一九七五年一月、フォード大統領にキッシンジャー国務長官は『OAPEC(アラブ石油輸出国機構)諸国が石油禁輸を行ない、自由世界、先進工業国の息の根が止められる場合には米国は中東で武力行使することを否定しない』と記者会見で明言した。

 その準備行動として、米国の中東砂漠に似た砂漠地帯で海兵隊の演習を行なう、と世界に向けて報道した」のである。

 このような対中東戦略は、一九七九年のホメイニ革命に対抗するカーター・ドクトリンに明文化され、「緊急展開軍」創設から「英雄」シュワルツコフの「中央軍」へと発展強化されていった。


 次の問題は、さらに決定的な「計画性」の証拠となる公式文書や、アメリカ議会の国防関係記録があったのか、なかったのかである。

 答えは「あった」であり、しかも、二重丸つきの「あった」なのだ。

 最近のものだけではなく、十年ひと昔前の一九八〇年初頭の計画まであった。現在の「中央軍」につながる「緊急展開軍」編制と増強のために「軍拡」予算が請求された当時の何百ページもの公聴会議事録までが、いとも簡単に入手できたのである。

 内容もすごい。これら証言と報告が、湾岸危機の初期の段階に詳しく報道されていたならば、誰一人としてアメリカの戦争への意図と、それを可能にする謀略の存在を疑うものはなかったと断言できるほどのリアリティーがある。湾岸戦争は、十年以上前からの予定通りに実施されたといっても過言ではない。実物のコピーを見たとき、私自身、自分の目を疑うほどの驚きを禁じ得なかった。

 驚きは二重であった。どうしてこういう公開記録が、最も大事なタイミングで問題にされなかったのか。なぜどのメディアも、これらの十年にわたる議会記録の意味するものを、振り返って解明しようとしなかったのか。英米流の議会制民主主義がはらむ可能性と、その陰の反面をなすマスコミ・ブラックアウト、大衆的「隠蔽」の機能を改めて痛感せざるを得なかった。

 アメリカ議会の公式記録の重要性を私が再認識し、直接原資料に当たる気になったのは、本書の巻末付録の資料リストをほぼ整理しおえたのちのことであった。 情報洪水との格闘に疲れはて、やっと一年後に訪れた谷間の休息のひととき、整理の合間に収集した資料をパラパラめくったわけだが、その際はじめて宮嶋[*元シェル石油社員、現神奈川大学教授]以外には「だれもこれらの記録を引用しておらず、存在にもふれてない」という事実が、次第に浮かび上がってきた。あたかも、情報洪水を覆っていた霧が晴れてみると、突如、濁流の真中にそそり立つ巨岩が不気味な全容をあらわにしたような情景であった。

 比較的に詳しくアメリカの国防問題にふれた単行本としては、『超大国アメリカ/そのパワーの源泉』があった。著者の経歴は、「ウィスコンシン大学大学院終了、カリフォルニア州立大学講師。在米20年、専攻は国際関係論・比較防衛学」とあり、現在は日本の大学講師である。緊急展開軍創設の時期については、次のように書いている。

「カーター大統領がソ連のアフガニスタン侵攻という煮え湯を飲まされ、あわてて軍事費増大を行ったのは、レーガン政権交代直前の八〇年一月で、二、〇〇〇億ドルに及ぶ予算を議会に提出した。しかし実際にはその三ヵ月後、新政権下のワインバーガー国防長官はそれよりもさらに四%~一三%の増額修正を行った」


 国会図書館の法令議会資料室でアメリカ議会の記録を探した。

 ところがなんと、いちばん重要と思われる一九八〇年の上院外交委員会聴聞会議事録『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』(『U.S. SECURITY INTERESTS AND POLICIES IN SOUTH-WEST ASIA 』)の図書カードには、「欠・不明」と記載されていたのだ。

 念のため係員に確めると、「いったん受けいれたものが行方不明になっている」という説明である。疑り深い私は「スワッ、CIAの仕業か」といきごんだが、どうすることもできない。ともかくこれで、日本国内でも、この報告を見る機会が過去にあったのだという事実だけは確められた。係員が気の毒そうに、「アメリカン・センターにマイクロ・フィシュがある」と教えてくれたので、翌日そちらにでかけた。

 資料名だけはすでに一年前から知っていた『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』は、マイクロ・フィシュではたったの四枚だが、議事日程で二月から三月にかけての六日間の証言と付属報告集であり、B5版で本文が三六八ページにもおよぶ長文のものであった。

 表紙には斜めに、「 HOLD FOR RELEASE SEP 16」というゴム印らしい文字が二ヵ所に押されている。マイクロ・フィシュは白黒写真なので、色は分らないが、赤字の日づけ入りハンコだったのではないだろうか。「九月十六日に公開」ということは「それまでは差止め」の意である。

 この種の議事録には機密性があり、内容も一部は削除され、公開が遅れることも多いという。この場合、三月十八日に終わった聴聞会の記録が、以後約半年間、公開差止めとなっていたわけだ。同時期の軍事委員会議事録にはゴム印が見られないことから考えると、やはり、特別扱いだったのだろう。

 内容は、定まり文句の「ソ連の軍事力の増大」ではじまり、「ペルシャ湾への合衆国(軍)の接近作業」(U.S. APPROACHES TO THE PERCIAN GULF )という題名の軍事作戦地図でおわっている。だが、むしろ驚嘆すべきなのは、実に詳しい石油事情の分析と予測である。つまり、「安全保障」といい「軍事力」というものの本音が、まさに石油資源地帯確保にほかならないことを見事に自ら告白しているのだ。

 途中からは「追加報告」となり、文書提出の「CIA長官の陳述書」、「緊急展開軍」(中央軍の前身)、「ペルシャ湾からの石油輸入:供給を確保するための合衆国軍事力の使用」などが収録されている。「事件年表」の発端が、一九七三年十月十七日から一九七四年三月十八日までの「アラブ石油禁輸」となっているのは、この報告の歴史的性格の象徴であろう。

 大手メジャー、エクソン作成の報告書「世界のエネルギー予測」もある。


 本章で概略のみを紹介した一九八〇年の米議会記録は、その当時のアメリカのメディアでは報道され、かなり議論されていたのだそうである。問題の出発点にはカーター・ドクトリンがある。カーターは一九八〇年一月の大統領教書で「湾岸地域における紛争を米国の死活的利害にたいする脅威と見なし、武力を含むあらゆる方法で介入する」方針を述べ、中東戦略の核心にすえた。

 その直後に提案された「緊急展開軍」は、その戦略の具体化であった。だから、このドクトリンが歴史の転換点をなしていたのだと考えるべきであろう。かつては、トルーマン・ドクトリンが東西冷戦の開幕を告げたように、カーター・ドクトリンは、湾岸戦争とそれ以後のアメリカの世界戦略を決定づけるものだったのだ。

 ただし、この二つの大統領ドクトリンの中間にはアイク・ドクトリンがあリ、三根生久大はこれが「一貫してアメリカの重要基本政策の一つ」として維持されたと評価する。アイクは一九五七年、アラブ諸国の石油国有化要求の高まりに対抗しながら、次のような骨子のドクトリンを発表していた。

「米ソの冷戦構造の下で、アメリカが中東地域における戦略的物資として最重要の石油の権益を死守することは、ひいては西側の安全保障上の権益を守ることになる」

「アメリカは中東湾岸の産油国、とくにサウジアラビアの石油を確保し、もし、サウジアラビアが攻撃されるようなことがあったら、それはアメリカ本土に対する攻撃と同様と見なす」

 アイク・ドクトリンは、その主の退任演説を乗り越えて、今まで生き続けてきたのである。

 以上で引用終わり。


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