最新!21世紀アメリカの世界戦略を考える

2000.1.7

(その1) 1992年の公開情報でコソボの運命は予測できた

 冒頭に紹介した日米の法律家が中心の集会で、国際的な問題として報告され、議論が集中したのは、ユーゴ戦争の問題だった。ただし、歴史的経過についての材料は、ほとんど出てこなかった。だが、上記の資料紹介だけでも明白なように、すでに7年前の1992年の段階で、アメリカの国務省が「コソボはアルバニアの一部になる」との力学研究をしていたこと、アメリカの国防総省(通称ペンタゴン)が、その後の「十年に七つの地域戦争を想定した作戦計画」を立て、「アメリカの第一の戦略目標は、新たなライバルがふたたび台頭するのを阻止することである」という趣旨の「国防計画指針」を発表し、アメリカが世界中の「地域紛争」に国連を飛び越えて介入する方針を露骨に示していたことは、別に秘密でも何でもなかったのである。 ⇒全文を読む

(その2) 湾岸戦争の予測は10年前から可能だった

 『湾岸報道に偽りあり』(1992. p.220-222)
  第9章/報道されざる十年間の戦争準備
 「イラク処分」への一本道は十数年前から敷かれていた

[中略]いかにも象徴的ながら、「石油」ではなく「水」の確保を「戦争」の歴史的目的の筆頭に掲げるアメリカ支配層の中東戦略思想は、すでに湾岸危機の十数年も前から声高らかに表明されていた。克明な公式文書の数々も一般公開されていたのだった。それらがなぜ今回の湾岸危機に際して、大手メディアで報道されなかったのか。「平和のペン」の武器として活用されなかったのか。これもまた重要かつ決定的な反省点なのである。⇒全文を読む

(その3) アメリカの産業戦略&国防基本戦略資料集
 (1) 米国重要技術報告書
(復活へのカルテ)

 ブッシュは、湾岸戦争直後に『国家重要技術』報告書を議会に提出した。日経産業新聞はその報告書の概略を、「米国重要技術報告書/復活へのカルテ」(1991.5.21~6.3)と題し、「米国が優位を維持すべきハイテク分野・産業を明確にした」というリードではじまる10回の連載で報じた。その内の3回分は「情報・通信」であった。「ソフトウェア」などの小項目のいずれにおいても「日本」の動向が注目されている。[中略]アメリカ系多国籍巨大企業が、日本を[アジアへの]飛び石の基地として再占領しなおすために研究した大戦略の、ごくごく一端といっても過言ではない」
 ところが、この「日経産業新聞」の連載記事のことに触れる論文が、まるでないので、日経のデータベース担当者に聞いたところ、インターネット以前なので、キーワードのITは愚か、情報ハイウェイでも、出てこない……『電波メディアの神話』第七章-2)

(その4) アメリカの産業戦略&国防基本戦略資料集
 (2) ペンタゴン報告書

 1999:21世紀国家安全保障委員会「諮問報告」(その1)英文9頁(テキスト)
   同上の根拠となる「調査・分析」英文150頁(前)pdfのみ
   同上の根拠となる「調査・分析」英文150頁(後)pdfのみ

 2000:21世紀国家安全保障委員会「諮問報告」(その2)英文17頁(テキスト)

(その5) 2000年末に石油マフィア政権の出現の中締め

 その状況下、最初から石油マフィアが背景にありとの批判を浴びていたブッシュJR.政権が成立するのである。どうやら、やはり、血腥い21世紀の開幕となりそうである。その点で重要なのは、上記の記事の広告と表紙と中身のすべてに共通していた副題の「ゴアかブッシュかよりも重要なアメリカの本音」であろう。このことを私は、湾岸戦争の準備でも、情報技術の準備でも、共通の問題として指摘し続けてきた。世界支配の観点から見ると、新興のアメリカ帝国は、従兄弟のイギリス帝国とヨーロッパ諸国を目下の同盟として押さえ込んだ。日本は無権利で言いなりになる末っ子州である。東西冷戦構造が崩壊した今…… ⇒全文を読む