子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
S020507 体育授業 2003.12.9 2004.9.12 2007.9.24更新
2002/5/7 神奈川県の県立小田原城北工業高校で、体育授業の持久走中に小野朋宏くん(高1・15)が倒れ、4時間後に脳浮腫(ふしゅ)で死亡。学校は救急車を呼ばず、過呼吸症候群を疑った手当てをしただけで、タクシーで自宅に帰していた。
経 緯 5/7 体育の授業を見学する時には1時間前に申し出る決まりがあるが、当日直前に3名の生徒が見学を申し出た。体育教師は、「気分が悪いので持久走3000メートルにする」と言って、生徒に走らせた。

午前10時半頃、体育授業の3000メートルの持久走中、6週目で朋宏くんが突然、倒れた。
体育教師は5分近くグランドに放置。その後、「あいつ、まだ寝ているのか」「だらしない奴だ」と言いながら、グランド脇の小屋の前で椅子に座らせた。

教師は「過呼吸」と判断して、口にビニール袋をあてたが、朋宏くんの体が地面に崩れ落ちた。
顔を軽く叩いたが反応がないため、生徒に保健室に運ばせた。

保健室には「過呼吸で倒れた。休ませてくれ」と伝えた。

保健室には2人の養護教諭がおり(1人は看護士の資格あり)、脈を30秒はかっただけで、朋宏くんを保健室のソファーに横たわらせていた。

朋宏くんは、痙攣発作(けいれんほっさ)を起こしてソファー脇のカーテンを何度も引っ張った。養護教諭は癲癇(てんかん)を疑ったが、調べてみて持病がないことが判明。そのまま寝かせて、おいた。

2時間半後にタクシーで帰宅させた。

朋宏くんはトイレに直行し、意識を失った。母親が呼んだ救急車のなかで呼吸が停止。
アンケート 生徒父母から学校に、子どもが言っていることと学校側の説明とで事実が違うので、アンケートをとってほしいという要望があった。
6月に、「朋宏くんの様子を思い出して書いてください」「体育の授業について、学校について意見を書いてください」などの内容のアンケートをクラスで実施。

アンケートを朋宏くんの両親が学校側に見せてほしいと要望。
学校側はプライバシーを理由にコピーは許可しなかったが、その場で書き写すことは許可。
その後、両親が情報公開で、当時のクラス生徒38名分のアンケートのコピーを取り寄せた。生徒たちのプライバシーを理由に黒塗り部分が多かった。(民事裁判に際して、30数名中11名分は同意が得られなかった。同意が得られた残り19名分のマスキングを外したコピーを証拠提出)

「体育の授業について、学校について」は、「きびしい」「先生の圧力がある」「気分でやらせる」「(教師の)言葉遣いが悪い」「目つきが悪いと言われた」などと書かれていた。

事故報告書 002年5月7日付け「事故報告書」(両親が情報公開制度を使って取り寄せた)には、「まくらもとのカーテンをにぎりしめ、強い力で手を上げて振り落とす様子を何度もした。呼吸も荒くなってきた。」「肩のあたりが痛い痛いといって体を硬直させ、5分くらい発作的に体を暴れるようにくねらせた」とあった。

2002年10月に学校側が県教委に再提出した「事故報告書」には、保健室に運ばれたあとの朋宏くんの様子を「カーテンを握りしめ、強い力でゆっくり動かした」と書いていた。
学校ほかの言い分 校長は、救急車を呼ばなかったことについて、「本人の状態が回復したから帰した」と回答。
神奈川県教育委員会も、「救急車を呼ぶかどうかは、養護教諭の判断」と言い、「脳腫脹(しゅちょう)、急性脳症の死亡に、学校側は責任はない」とする。
裁 判 2003/10/7 教師らに注意義務違反があったとして、両親が県を相手どって約6400万円の損害賠償を求めて横浜地裁に提訴。(陳述書 参照
原告側は「学校の対応に誠意も反省もなかったので、再発防止のために訴えた」とした。
和 解 2007/9/ 横浜地裁で、県が遺族に解決金1000万円を支払うことで、和解。
参考資料 2003/10/8讀賣新聞、「またも救急車を呼ばず高校生死亡(神奈川)」/原田敬三(弁護士)/学校災害から子どもを守る全国連絡会 第24回総会報告「折り鶴とともに」2007/9/12朝日新聞 裁判傍聴
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