2023年 5月 「G7広島サミットを問う市民のつどい」参加の呼びかけ(短縮版)

以下は私たちの呼びかけ文の短縮版です。正文はホームページをごらんください

G7サミットは、1973 年のオイルショックによる世界不況に直面した経済大国7カ国が、自分たちだけの経済的利益を守るために結束したことから始まった。これは、加盟各国の主権平等を原則とする国連憲章に反することであり、同時に環境破壊、原油高騰、金融危機、食糧・農業危機、戦争と貧困などの様々な危機を作り出している重大な自分たちの責任を放棄し、世界の重要な出来事に恣意的介入をすることで問題解決を遅らせてきた。岸田政権は、安倍政権の独善的な政策をそのまま継承し、G7 とN A T O の軍事面での決定にますます引きずりこまれようとしている。

G7 議長国となった日本の岸田首相の提唱により、来年 5 月、このサミットが広島で行われようとしている。78 年前に米軍が原爆無差別大量殺戮により由々しい「人道に対する罪」を犯した広島という場を、被爆地出身の首相自らが開催地に選んだということに対して、私たちは危機意識を持たざるをえない。

広島では、2008 年 9 月のG8下院議長会合、2016 年 4 月のG7外相会合が開催され、2016 年5 月にはオバマ大統領が「慰霊」と称して、核のボタンを携えて平和公園に立ち入った。これは、凄惨なる核による死と被害に苦しみ、核兵器廃絶を訴える人々の原点を冒涜する行為であった。オバマ大統領と安倍首相は、米日どちらもが戦時中に犯した残虐な戦争犯罪行為の犠牲者へ謝罪することもなく、広島の犠牲者への「慰霊」を日米軍事同盟強化のために政治的に利用した。7カ国の他の代表たちもまた、おざなりの「慰霊」としての「政治的見世物」を演じただけであった。この醜態がくり返されることを許すことはできない。

「唯一の原爆被爆国」と喧伝し「最終的な核廃絶」というごまかしで市民を騙し続け、一方で米国の核抑止力の拡大に全面的に依拠し続けている日本政府の岸田首相が、自らの選挙区で見せかけの「反核」を演じるという欺瞞的姿勢が露骨に見える。さらに、ロシア・中国・朝鮮民主主義人民共和国(以下、「朝鮮」)の「核の脅威」を強調することで核抑止力を正当化し、市民にその正当化思想を浸透させようという意図を感じる。G7 サミットを「被爆地」広島で開催しようという構想の裏には、その結果としての公式声明文に「被爆地からのお墨付き」を与えようという目論みが隠されている。

来年 5 月のG7 サミットでは、インド太平洋地域諸国の軍事力を米国・NATO に統合し、中国・ロシア・朝鮮を封じ込めるという「新戦略構想」を強化するために、核抑止力の維持・強化がはかられようとしている。よって、広島開催により、核兵器削減を議論することはありえない。

私たちはこのような状況を黙って見過ごすことはできないと考え、G7 サミット開催 1 週間前の 2023年 5 月 13 日(土)~14 日(日)に広島市内でG7 広島サミットに抗議する大規模な市民集会を開催する計画である。この集会への幅広い市民の参加を呼びかけたい。

私たちは、この集会に向け G7 各国政府に対して以下の要求を行う。

1 G7 を即時解散すること。特に、広島でのサミット開催を中止すること。直ちに国連の場での議論と決定に基づいて、世界の安定と平和構築を目指すこと。

2 バイデン大統領は、広島・長崎への原爆と日本各地での焼夷弾による無差別大量虐殺が「人道に対する罪」であったことを真摯に認め、すべての関係者に謝罪すること。核抑止力が「平和に対する罪」で
あると認め、核兵器を即刻廃絶すること。

3 岸田首相は、日本がアジア太平洋侵略戦争を引き起こし、その戦争をむやみに長年にわたって引延したことで、米国の原爆・焼夷弾による無差別大量虐殺を誘引した責任が日本にもあることを認め、すべての犠牲者・被害者への全面的援護を行うこと。同時に、速やかに核兵器禁止条約に署名し批准すること。

4 岸田首相は、日本政府と日本軍のアジア太平洋侵略戦争の加害責任を認め、すべての犠牲者・被害者と関係者に謝罪・賠償すること。

5 岸田首相は、日米軍事同盟を廃棄し、NATO への加担をやめ、沖縄をはじめとする日本国内の米軍基地を即刻撤去するよう米国に要求すること。日米の軍事関係を、日米両国市民の真に平和的で文化的な多様な交流の連繋に基づく、人間味溢れる国際関係へと変更すること。

6 G7 各国政府は、ロシア・中国・朝鮮への軍拡封じ込めをやめ、平和的共存に向け外交交渉を地道に進めること。ロシアのウクライナ侵略を直ちにやめさせ、双方が直ちに和平交渉に臨むよう奮励努力すること。

7 G7 各国政府は、国連憲章の「加盟国の主権平等の原則」を尊重し、「国際紛争を平和的手段によって」解決することを厳守して行動すること。同時に、国連機構がこの国連憲章に真に沿うようなものとなるように改正することに努力すべきこと。

8 G7 各国政府は、気候危機の元凶である「先進工業諸国」としての責任を自覚し、生物多様性を保持・発展させ、脱原発と化石燃料削減による脱炭素社会実現に向け努力すること。また、気候変動による甚大な災害に直面しているパキスタンやアフリカ諸国をはじめとするグローバルサウス諸国の債務を無条件解消し、その責任を果たすこと。

2022年9月25日