WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

韓国のフェミニスト・アーティスト

ユン・ソクナムさん

  • 2011.02.05
  • 聞き手:栗原順子
  • 撮 影:落合由利子
  • 通訳協力:金惠信

ユン・ソクナムさん

社会には女性のための部屋が必要

 「反戦、平和がモットーの私を、この意味深いミュージアムにお招きいただき光栄です」
 様々な女性の像を木彫りにした作品《999》(本紙新年号で紹介)の一部が、東京のアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館(wam)」に寄贈され、1月に行われたその記念シンポジウムで、作者のユン・ソクナムさんはこう挨拶した。
 《999》の女性像は、ソウルの「平和ミュージアム」をはじめ、ユンさんが〝ここぞ〟と思った場所・団体に寄贈されている。寄贈先には一つの条件をつけていることを知った。
 「作品をただ飾っておくだけでは意味がありません。大した金額にはならないかもしれないけれど、作品は売って、運営、活動資金にあててください」
 ユンさんがフェミニストアクティビストとも呼ばれている由縁はここにあるのだろう。

 ユンさんの初の個展(1982年)は43歳の時。画家としては遅めのスタートだった。最初のテーマは「母」。
 「母を座らせ、描いている時、心の底から喜びを感じました」
 ユンさんが16歳の時に父親が死去。たちまち貧困に陥ったユンさんの母親は、行商をはじめ、あらゆる仕事をして6人の子どもを養った。「私は足元にも及ばない」という母親の存在はユンさんのアートに欠かせなかった。「母」を通して、韓国の母、女性を表現していく。
 母親たちの働く姿を描いた絵画には、たくましく、やさしい女性像が浮かび上がる。だが、そこには、低賃金で働く女性が表舞台に立てないことへの批判も込められている。
 息子を産むことを強いられる女性たちの苦しみを描いた《息子、息子、息子》、家系図を背景に首を吊った女性が描かれている《族譜》などからは、家父長制の下で抑圧された女性の痛み、悲しさが伝わってくる。
 《999》など、彫刻作品に使われるのはもっぱら廃材だ。ごつごつして、決してきれいとはいえない廃材に、身体の欠損感や心の痛みを彫る。
 《ピンクルーム》は、ピンクのビーズで敷き詰められた床と、鉄の鋭いフックが突き出ているピンクのソファと木の女性像からなるインスタレーション(空間芸術)。床にもソファにもいられない現代女性の不安定さを表した作品だ。

続きは本誌で...


ユン ソクナム

1939年、中国・満州生まれ。制作は絵画、ドローイング、彫刻など。母親や歴史の中の女性をモチーフにした木の彫刻とインスタレーションがトレードマーク。作品に《椅子》《1、025―人とともに、あるいはともにする人もなく》ほか多数。

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