河合節子作 紙芝居「知って下さい 東京大空襲」より
「―包帯をグルグル巻きにしたミイラのような姿の父が私を迎えにきました。この時 やっと私は母や弟たちがもういないのだと悟ったように思います―」(河合節子作 紙芝居「知って下さい 東京大空襲」より)
「全国空襲被害者連絡協議会」(以下、空襲連)事務局次長の河合節子さん(86歳。本紙2021年5月15日号)は、1945年3月10日の東京大空襲で、母親と2人の弟を亡くした。7月になって、顔中ケロイドの父親が、茨城の親戚の家に預けられていた当時5歳の河合さんを迎えにきた。上の絵は、その時のことを描いたもの。河合さんは、自分の体験を紙芝居にし、平和集会などで講演している。
元軍人・軍属には手厚い補償があるが、民間被害者にはない。空襲で孤児となった吉田由美子さん(84歳。25年5月15日号)が共同代表を務める空襲連は、空襲被害者救済法の成立を求め長年活動している。法案には、心身に障害を負った存命者に50万円の特別支給、被害の実態調査と追悼施設の設置が盛り込まれている。河合さんは「空襲被害をなかったことにさせてはならないです。戦後80年の今年こそと成立を願っています。成立しなくても次世代へ希望を託します」と話す。
先の通常国会では法案提出さえ見送られた。救済窓口になる予定の厚生労働省と自民党の一部の強固な抵抗が理由と言われている。秋の臨時国会での成立に向けて、世論も後押しが必要だ。 ● 栗原順子
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