「死んだほうがいい」が問いかけるもの 安楽死をめぐる言葉をたどる
渡邉琢 著
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「死んだほうがいい」が問いかけるもの 安楽死をめぐる言葉をたどる
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近年「こんな状態なら死にたい」と願う人の「死ぬ権利」を求める声が大きくなっている。障害者の地域での自立生活に長年尽力してきた著者が、「安楽死」が隠ぺいするものを詳らかにし、あらゆる生の肯定に向けて言葉を紡ぐ。
「死にたい」の裏には単に病苦だけない、貧困や、虐待・いじめのトラウマ等の「呪詛」や揺れがあり、“介護地獄”で「死にたい」「死んでほしい」と思う時がある一方で笑いや喜びもあるリアルを、文学やノンフィクションで示す。さらにALS嘱託殺人事件の加害者のように、「自己決定による安楽死」のみを肯定しつつ、実は意思表示が難しい他者の「自己決定によらない安楽死」を是認する「二枚舌」を喝破する。
「死にぞこない」でいい。「安楽死」の潔さに惑わされず、死と生の間で揺れながら、そこにある「分厚い幅と時間」を表現する豊かな言葉と実践を、私たちはもっともっと作り出さないといけない。(H)
オンナを黙らせる政治とメディア 女性たちから見た「言論の自由」の現在地
三浦まり、林里香 編著 岡野八代ほか 著
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- オンナを黙らせる政治とメディア 女性たちから見た「言論の自由」の現在地
- 三浦まり、林里香 編著 岡野八代ほか 著
- 花伝社 2200円+10%
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女性の発言はなぜ攻撃され、萎縮や沈黙を余儀なくされるのか。本書は、編著者の三浦まり氏が、新聞の有識者コメントで、国会議員から名誉棄損で訴えられたことから編まれた論集。男性支配がとりわけ強い政治とメディアの構図を解き明かしながら、性差別が幾重にも再生産される状況をえぐり出す。
浜田敬子氏は、メディアが客観報道と見せながら、主観をある程度「意思を投影させる形で有識者に委ねる」構造に切り込む。田中東子氏はオンラインにおけるジェンダーに基づく暴力が意見の対立を超えて、女性やマイノリティへの日常化した暴力・ヘイトの発露になっていると解説。ミソジニーのネットワーク化・収益化によって止めにくい現象になっていることに注目する。
巻末の「女性言論人をめぐる名誉棄損・差別関連訴訟年表」(2015~25年)は貴重な記録。事例の多さに、女性の発言をめぐる現在地の厳しさを思い知らされる。(春)
日本で女性研究者が増えない理由 アカデミアに残るジェンダー問題
中野円佳 編著
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- 日本で女性研究者が増えない理由 アカデミアに残るジェンダー問題
- 中野円佳 編著
- 大月書店3400円+10%
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日本の女性研究者比率は18%、OECD加盟国で最低だ。本書は大学の環境や組織風土、研究者の世界やカルチャーに問題があるのではと検討する。編著者は大学教員で男女共同参画を担う役職者。
女性研究者が少ない理由に、ケア労働を担当すること、姓の変更や研究室内でのハラスメント、社会全体の偏見等が挙げられる。本書の特徴は、68人の男女研究者と研究者を断念した女性のインタビューを分析してそれを実証した点と、具体的で豊富な語りにある。ゼミの教員の証言「女子がゼミに入ることで男子がそわそわするんだよな」に絶句。
解決策という「女性限定公募」は日本特有で、効果の実証研究も少ないと知って驚く。新制度には理解と合意が必要で、そうでないと女性たちが批判を浴びてしまう。問題の所在を女性個人の努力不足とせず、差別の解消を組織の問題として捉え直すのが第一歩だ。(雪)