エトセトラ VOL.14 SRHR
福田和子、高井ゆと里 特集編集
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エトセトラ VOL.14 SRHR
- 福田和子、高井ゆと里 特集編集
- エトセトラブックス1500円+10%
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SRHRとは「性と生殖に関する健康と権利」、つまり「私のからだは私のもの」だ。政治家たちによる、女の身体を女から引き離し管理する暴言に、SRHRとは人権なのだと女性たちは怒った。
SRHRはこの社会のあらゆることに関わる。家父長制と女性差別、優生思想、植民地主義、トランスジェンダーや同性愛者差別、貧困と戦争、教育への政治介入、資本主義…。冒頭の年表を読むだけでも、女性の身体が国家や資本に絡め取られている様子が明らかになる。例えば「プレコンセプションケア」(受胎前ケア!)と「フェムテック」(女性の健康管理と科学技術)は、誰が何のために進めるのか意識しよう。「からゆきさん」、移民女性の管理、障害のある人の身体の否定なども挙げられるが、不条理はもっとあるはず。そんな中で編者たちの鼎談では、対立を越え、私たちの手にSRHRを取り戻すための闘い方が語られて勇気づけられる。
明日からの生き方のため、本書を手にとってほしい。(三)
ほんのかすかな光でも
チェ・ウニョン 著 古川綾子 訳
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- ほんのかすかな光でも
- チェ・ウニョン 著 古川綾子 訳
- 筑摩書房2000円+10%
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著者は、イスラエル生まれのユダヤ系イスラエル人の歴史学者。2023年10月7日のハマスによる一斉蜂起が、突然で一方的な「テロ」であるかのように、イスラエルばかりか欧米・日本のメディアでも拡散された。その認識がいかに間違って、そこに至るには何があったのかがわかる一冊。
パレスチナは西岸とガザだけではなく、イスラエル建国で奪われた土地を含めた元々の土地を「歴史的パレスチナ」と認識することも抑えておきたい。シオニズム運動が土地所有の慣例を壊すと、シオニスト入植者たちはパレスチナの村人を強制的に立ち退かせ、入植地を拡大、入植者植民地主義が進められ、民族浄化が進められた。北米や中南米で入植者が先住民を追い出して植民地化したのと同じ構造がここに見える。
最後に本書は、「10・7蜂起に加わったハマス戦闘員たちはイスラエルに落とされた爆弾から暴力という言語を学んだ若者たちだった」と結ばれる。(公)
フェミニズム視点からの在日朝鮮人史 植民地主義・家父長制・性差別
宋連玉 著 ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員会 編
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- フェミニズム視点からの在日朝鮮人史 植民地主義・家父長制・性差別
- 宋連玉 著 ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員会 編
- 一聡舎 1700円+10%
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本書は連続講座の書籍化。著者は在日朝鮮人女性として、民族差別を受けた体験や、文学や映画などから具体例を挙げ、在日朝鮮人の歴史や日本社会を分析。在日朝鮮人や朝鮮半島に対し、知識人を含めた日本人の偏見・思い込み・無知・鈍感さを批判する。
たとえば、朝鮮半島の女性は地位が低いと考えるのは、儒教や朝鮮独自の家父長制や性差別があるからだとするような、ステレオタイプ的言説が日本に多いことを指摘。儒教と家父長制を結び付けた“伝統”についての誤解は植民地史観によるものと喝破。その植民地主義的な視点がいまなお日本社会に影響を与え、朝鮮人の自己責任に帰し、在日朝鮮人を差別し、見えない存在に追いやるとしている。
日本のフェミニズムは植民地主義的だとする見解を読み、植民地支配をした側の者が内面化している意識を徹底的に自覚することから始めなければと思った。(ゆ)