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ふぇみんの書評

祖国が棄てた人びと 在日韓国人留学生スパイ事件の記録

金孝淳 著 石坂浩一 監訳

    祖国が棄てた人びと 在日韓国人留学生スパイ事件の記録
  • 金孝淳 著 石坂浩一 監訳
  • 明石書店3600円
 民主化から30年余、韓国ではまだ過去の清算の営みが続いている。1970年代から80年代前期、軍事政権は独裁体制維持のために数多くの公安事件を捏造し、社会に「アカの恐怖」を植えつけようとした。本書に登場する「在日韓国人留学生スパイ事件」も上記の文脈で引き起こされた。  差別の中で生きることを強いられた在日の青年が「祖国」に留学、そこで逮捕、拷問を受け「北のスパイ」に仕立てられた。「前途有為の青年たちを国家の名でいとも簡単に殺してしまおう」との所業は、「過去の日帝の悪しき手法」と瓜二つ。植民地支配時代に朝鮮人独立運動家を弁護し、戦後は代議士となった古屋貞雄はこう喝破した。軍事政権が日帝時代の治安維持法、拷問手法を「継承」し、スパイ事件をでっち上げるのに対し、家族、支援者、弁護士らが懸命に救出運動を展開し、釈放、ついに再審無罪をかちとる。それは市民主導の過去の清算の貴重な記録だ。韓国で出版された書の日本語版。(喜)

麦酒とテポドン 経済から読み解く北朝鮮

文聖姫 著

  • 麦酒とテポドン 経済から読み解く北朝鮮
  • 文聖姫 著
  • 平凡社840円
在日コリアンで朝鮮新報記者であった著者にとって、2002年の拉致被害者認定は衝撃だった。北朝鮮の言うことをうのみにして報道に携わっていた自分を恥じて、06年に新報を辞し、その後、大学院で北朝鮮経済を研究、6度の訪朝経験と研究成果をもとに本書を書いた。  注文制度と国定価格での購入という計画経済に基づく供給システムは崩壊しつつある。国内には24の経済特区があり、中国の請負制度に似た協同農場で改革政策をとるという。供給の不足分を補う市場の発達、人々の休日や外食など、私たちがなかなか知ることができない、下からの資本主義化が進む人々の暮らしぶりも記す。  北朝鮮は今、テポドンに象徴される核・ミサイル開発か、平和の象徴である大同江ビールの輸出かを迫られている。著者はビール輸出の道を選んでほしいとの思いからタイトルをつけた。北朝鮮のおいしいビールが飲めるよう、私たちができることを考えたい。(ね)

十七字の戦争 川柳誌から見た太平洋戦争と庶民の暮らし

田村義彦 著

  • 十七字の戦争 川柳誌から見た太平洋戦争と庶民の暮らし
  • 田村義彦 著
  • かもがわ出版2200円 
本書には、1942年1月以降、国内の川柳2誌に投稿された1000句に上る川柳を収録。著者は41年生まれ。この年、太平洋戦争が開戦。ちなみに私の父は日中戦争が勃発した37年生まれである。筆者も私の父も「生まれた時から戦争だった」わけだが、2人が幼い頃過ごしたであろう日常に思いを馳せつつ、ページを進めた。  「上の子が女なればと母が病み」(42年3月)、「駅の柵今宵も一人疎開の子」(44年10月)。息子を戦地へ送り出す親、故郷の両親を恋しがる子どもの姿…検閲や紙不足を受けてなお、自らの気持ちを十七文字に乗せて投稿した人、そして川柳誌を発行した人々の思いはいかばかりだったか。「生きのびた友達の顔土がつき」(45年4月)。連日連夜の空襲を生き延び、泥だらけの顔で無事を喜び合ったのか。戦争という日常を生き抜き、やり場のない思いをたった十七文字にぶつけた庶民らの、戦争に対しての静かな抵抗も伝わる、そんな一冊であった。(タ)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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