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インタビュー

『ミツバチの羽音と地球の回転』の監督

鎌仲ひとみさん

  • 2011.02.15
  • 聞き手:清水さつき
  • 撮 影:落合由利子

鎌仲ひとみさん

ミツバチは持続可能性の象徴

 核と放射能と原子力発電について映画制作を続けてきた鎌仲さん。六ヶ所村のチューリップ畑の次は、青い海と空の祝島と風力発電の回るスウェーデンが舞台になった。新作『ミツバチの羽音と地球の回転』について、「ドキュメンタリーは問題の構造やありかを示しても、その問題をどうやって解決するかは描いてこなかった。でも今回の映画は解決の道筋を投げている。わたしにとってものすごく挑戦的な作品なわけです」と語った。

 テレビのドキュメンタリー番組の企画でイラクへ取材に行った。子どもたちが白血病にかかっているのに薬がないという、その様子を取材してイラクで起きていることが日本では知らされていないことに愕然とする。「わたしを忘れないで、カマ」と言って死んでいった子どももいた。この出会いで進む方向が決まった。
 テレビはスイッチを入れるだけでのべつ垂れ流される情報が飛び込んでくる。だから無自覚にプロパガンダに乗ってしまう意識をつくりやすい。ジレンマを感じた鎌仲さんは、あえてテレビが取り上げない、踏み込まない事実を伝えるためにドキュメンタリー映画を作り始めた。
 わざわざお金を払い映画館に出向いて2時間向き合う体験をするから、気づきがある。イラクの子どもと劣化ウラン弾と原子力発電と日本に住む「わたし」、みんなつながっているんだということを知らせたい。テレビの距離間ではひとごとにしか思えない世界の出来事を、等身大の日常へ引っ張り込み、スクリーンに映っていることが生身の自分とつながっていることを感じさせたい、という思い。

 鎌仲さんの映画の上映方法は上映してくれるのを待つのではなく、働きかける。上映した後は見た人から人へつながり、ネットワークができる。『ヒバクシャ』は400カ所、『六ヶ所村ラプソディー』は650カ所で上映された。青森だけでなく全国で若者たちが『六ラプ』で動き、鎌仲さんと作品の魅力が人と人のつながりをつくった。
 でもそこで出たのが、「原発が問題なら、それでどうしたらいいの」という問いだった。賛成や反対を声高に言うのではなく、中立に原発がある姿を映し出そうとしたのだが、周囲は答えを欲しがった。
続きは本誌で...


かまなか ひとみ

テレビ制作の現場を経て、ドキュメンタリー映画の世界に入る。カナダやNYで研鑽を積み、帰国後『ヒバクシャ 世界の終わりに』『六ヶ所村ラプソディー』を世に出した。映像に関連した著書もある。映画『ミツバチ~』公開情報は7面を参照。

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