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昨秋公開され、各地で自主上映会が広がっている映画『医の倫理と戦争』。旧日本軍「731部隊」の人体実験等、医療者の戦争犯罪の事実に向き合い、戦争反対の声を上げ、医療問題に取り組む医療・介護・福祉関係者たちのドキュメンタリーだ。映画の企画者で医師の伊藤真美さんに会いたくなり、6月初め、房総半島の南東、千葉県南房総市千倉にある伊藤さんが院長の、緩和ケア病棟を備えた「花の谷クリニック」を訪ねた。
クリニックに着くと近くに太平洋が見え、心地よい潮風が吹いていた。施設には様々な植物が植えられ、室内にいても緑がまぶしく映る。 「クリニックの名前? 英国の登山家がヒマラヤで、高山植物が咲き乱れる谷を、〈花の谷〉と名付けたという文章をみつけ、これだ!って」
ここでは、ターミナルケアだけでなく、闘病中から緩和医療が受けられる。一般内科外来診療、緩和ケア病棟、在宅ケアの3つを柱にした有床診療所だ。ほっとできる空間があちこちにある。映画の中で伊藤さんは、大きな病院で積極的治療はせず緩和ケアを勧められた人が、ここで治療を受けて元気になっていくと話していた。
だがこれは、見捨てられる患者がいるということだ。認知症患者、高齢者、障害者に高額な医療は必要ないという声が大きくなり、厚労省も終末期医療費の削減をしようとしている。治療費が高くなり、患者が早々に治療をあきらめている現実がある。医療・介護の現場は経済至上主義に巻き込まれている。軍事費急増の陰で、医療費も介護費も削減され、基本的人権さえ守られなくなることを、伊藤さんたちは映画で訴えていた。 「医療者は命も人権も踏みにじる悪法には従わず、戦争を起こさないことに全力を尽くすべきで、それを伝えるには映画がいいと思った。映画は期待以上に好評です」
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