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沖縄県・今帰仁の海岸で、1人の老女が裸体で歩く。泰然と、ゆっくりと、地球の自転のように、祈りのように―。 女性は、当時84歳の舞踊家、川村浪子さん。様々なものをそぎ落として、「裸体で」「ただゆっくり歩く」パフォーマンスをし、老年期の股関節の手術を経て、年老いた肉体を表出して、ただ歩く。
ひめゆりの女学生を舞踊で鎮魂したいと願っていた川村さんの沖縄の旅に伴走し、パフォーマンスや川村さんが生き様を語るのを撮ったのが、映像作家の崟利子さん。1998年から国内外の映画祭やギャラリーで、作品を発表してきた。映画『ゆっくり あるく 川村浪子、84歳のダンス』は東京で公開中だ。
崟さんが川村さんのパフォーマンスを生で見たのは2016年。著名なパフォーマーたちと映像作品を作ってきた崟さんだが、その中の故・黒沢美香さんが川村さんを「私のバイブル」と言っていた。当時川村さんは引退も考えていた時期で表舞台には現れず、伝説の人だった。
「その時は着衣でゆっくり歩いておられて。存在感がすごかったんですね。でも威圧感がなくて、その場の空気が清々しい感じがするようでした。浪子さんの静かな強さに惹かれてぜひ撮りたいと思いました」と崟さん。映画では、「舞踊は生き方だ」と言う川村さんが「ただゆっくり歩く」境地に至るまでの道のり、年老いた肉体を晒す矜持、日本で女性の陰部が汚いとされる中、ウーマンリブの影響から捉え直し解放される過程を語る。圧倒的な存在感を、カメラはじっと定点で捉える。
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