
(c)宇井眞紀子
ミュージシャンの坂本美雨さんらと、パレスチナ・ガザでの「井戸水プロジェクト」を立ち上げた古知屋恵子さん。小さい頃から絵が好きで、その時々で感じたことを絵本にして生きてきた。
「一年の半分は人との出会いに過ごし、後の半分で創作する」という、うらやましい暮らしぶりは、お金に頼らないぜいたくの実践でもある。「稲刈りを手伝ってお米をもらい、絵と交換で野菜をいただいたり。旅する先々で出会った人に泊めてもらいながら個展や紙芝居をして回る」 人を幸せにしない縛りから解き放たれた人々と出会い、表現し続ける、その暮らしに触れようと自宅を訪ねた。
パレスチナに関わるきっかけは15年ほど前のこと。 「子どもが幼稚園に通っていた頃です。高校の世界史の先生に借りたままのパレスチナの本をふと手にして。あれから結婚して子どももできたけれど、当時の問題がまだ続いている。が~んと頭を殴られた思いで」学び直したり、映画を見たり。そこから刺繍の絵本『たからもの』を作った。
「暮らしは一朝一夕にはできないものだから、作品も手間をかけて作ろうと、ママ友に手伝ってもらいながらパレスチナのクロスステッチで12個の宝物を刺繍。その宝物を置いて逃げなければならかったナクバを表現しました」 例えば、泉で水を汲む壺。「僕の今日飲む この水は どんなに昔の 水だろな じいちゃんの頃の 雨かもな “昔”が僕の 喉流れ “今”の僕を 生かしてる」。 添えられた古知屋さんの詩は柔らかく人と地球について考えさせる。
2023年10月7日以降は、パレスチナについて発信するインスタグラムに、現地から助けを求める声が数多く寄せられた。
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