(c)宇井眞紀子
この数年、国政選挙の際にSNSで情報集めをしながら小さな楽しみができた。「投票ポスター」を見ることだ。 「投票ポスター」とは、投票率アップを主な目的として、デザイナーなど表現者が作ったポスターのこと。グラフィックデザイナーの惣田紗希さん、平山みな美さん、編集者の岡あゆみさんが2021年から企画・運営している。
運営は地道だ。惣田さんたちがSNS等で関心のありそうなデザイナー等を見つけては長文メールを送り、制作を依頼する。 「1回目から大反響でした。表現の力で選挙の認知を広げるバリエーションを増やせば、気楽にシェアできたり、選ぶ楽しさも作れると感じました。『政治的なことをすると仕事なくなるよ』と『呪い』をかけてくる人もいますが、むしろ同じ問題意識の人と出会えてプラス面のほうが大きいんですよ」 次は夏の参院選にて実施する予定だ。選挙の仕組みが理解できない、考える時間が足りない、イシューが把握できていない…などなど、ニーズは山積みだと感じている。
「投票ポスター」には、前身ともいえる「表現と政治」という活動があった。きっかけは、東京五輪(21年)のエンブレム盗作疑惑騒動。それに衝撃を受けた惣田さんたちは、背後にある政治やデザイン業界の課題について話し合った。 「社会と関わる仕事なのに、デザイナーが業界内でしか伝わらない言葉しかもたないことの問題を痛感しました。ネット上で過去の仕事が暴かれ“検証”されていましたが、本来はデザイナーもクライアントも共に考え、もっと注意を払うべきことがあるのではないかと考えました」
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