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インタビュー

社会福祉法人子供の家「ゆずりは」所長

高橋亜美さん

  • 2025.1.25
  • 聞き手…中村富美子
  • 撮影…落合由利子

高橋亜美さん

(c)落合由利子

子ども時代を奪われた子の今に伴走

 居心地の良いカフェにも見える「ゆずりは」には、安心して子ども時代を生きられなかった、かつての子どもたちが相談にやってくる。社会的養護施設で育った人も、制度からこぼれて何とか生きてきた人もいる。「どうやって家から逃げたらいい?」「アパートが借りられない」「妊娠5カ月になってしまった」  彼らに向き合うのは、所長の高橋亜美さんを含め7人。高橋さん自身にも子ども時代のつらい記憶がある。

 

「小学生の頃、父親から卓球の訓練で暴力を受けていて、当時は虐待という言葉もなく、ただつらく苦しく、自分が死ぬか父に死んでもらうしか逃げ道はない、ああこのまま交通事故にあえばいいのにとよく考えてました」  そのうち万引をしたり、鳩に石を投げるように。  「何度も捕まり、悪いとわかっていても手が伸びてしまうのは物欲が強いから、悪い子だからと思いこみ、しんどさを隠し、ひねくれることで強くなろうとしていました」  それでも小学6年の夏、限界が来た。ゾンビのように生気がなくなり、卓球をやめたいと父に訴えると、聞いてもらえた。抑圧と支配の暴力的な時間がなくなり、気がつくと万引は止んでいた。

   そんな経緯もあり、福祉系大学へ。ところが教員たちの言葉が全く響かない。  「福祉や支援はこうあるべきと、正しさを押し付けられるようで、先生につっかかってばかり」。気持ちをくれたのは自立援助ホーム(家庭の事情で働かざるを得なくなった15~20歳が暮らす施設)。  「ああしなさい、これ勉強しなさいではなく、まず私がどういう人間かを職員も知ろうとしてくれた。対等に向き合ってもらえ、あなたはどう思うの、とたくさん問いを投げかけられました」

        続きは本紙で...


たかはし あみ

1973年岐阜県生まれ。社会福祉法人子供の家(東京)が運営する「ゆずりは」所長。高卒認定の学習会、虐待の加害親への回復プログラム、地元農家と協力した手作りジャムもネット販売。著書『はじめてはいたくつした』等。

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