(c)浦島悦子
2024年6月の沖縄県議会選挙で、沖縄島北部・やんばるの国頭郡区(11町村)から初の女性県議が誕生した。弁護士の儀保唯さん、39歳。出馬表明から投票までわずか3カ月余。しかも、出馬表明後に第2子の妊娠がわかり、悩んだ末にそれを公表しての選挙運動となった。
地域住民や同級生をはじめとする友人、知人など選挙のド素人ばかりの後援会は、試行錯誤を繰り返しながら、上意下達ではなく、みんなが主体的に関わる手作りの選挙運動で奮闘。2議席を3人(唯さんを含む与党系2人、野党・自民党系1人)が争う中、貧困問題の解決、女性の政治参加、辺野古新基地反対などを訴えてトップ当選を勝ち取った。出身地の大宜味村だけでなく、保守地盤の町村でも票を大きく伸ばした。 やんばるに、沖縄県議会に、爽やかで新しい風を吹かせた唯さんと支援者たち。就任して2度の議会を経験し、11月末の出産を控えて沖縄県議会初の産休に入った唯さんにインタビューした。
「子どもの頃から、沖縄の基地問題に取り組む両親を見て育ち、基地問題を解決したい、社会の仕組みを知りたいという思いから法学部に進学しました。 広島で弁護士となり3年間活動。17年に沖縄に帰り、名護市内の弁護士事務所の支店長として働く傍ら、辺野古弁護団・高江弁護団(辺野古・高江の基地反対運動を弾圧対策などで支える弁護士グループ)に参加し、運動の現場にも関わりました」 「弁護士として11年間活動する中で、司法の力の限界を感じるようになりました。依頼されるのは借金問題や離婚問題が多いのですが、そこには、働く条件や家族の状況などを含め、貧困・福祉・医療の問題が複雑に絡み合っていて、個人の責任ではなく社会制度の問題だと痛感しました」
続きは本紙で...