(c)落合由利子
2021年2月1日、ミャンマーでクーデターが起き、軍部の復活に誰もが驚いた。世界中で抗議が広がり、日本でもミャンマー大使館前でデモをする人たちがいる一方、不服従で抵抗する本国の人たちを経済的にサポートしようと、ミャンマー人の若者が東京でレストランを開いたと聞いた。やっと今夏、日暮里の店を訪れた。 「春の革命」と呼ばれる運動から名付けた「スプリング・レボリューション・レストラン(SRR)」は、日暮里駅前の高層ビルの3階にある。ドアを開けると、スパイスの香りが漂う。
店主はレーレールィンさん。「看護師の収入で、国で抵抗する人たちを支援していましたが、すぐに行き詰まってしまって。そして人生初の政治活動を始めました。国軍に人々が殺害されている事実を日本のメディアに取り上げてほしいとメールを送っても十分に報道されない。街頭でスタンディングしても『国へ帰れ』と言われて…」
若い世代の仲間と共に、国軍を利する日本のODAを止めてと日本政府に訴える集会で発言したり、取材に答えたことで、勤務先の病院から注意を受けた。「母国が困難な時に発言もできないなんて。ミャンマーの政治状況が変わるまでは自由に意見をしたいのに」 「私の行動から、両親やきょうだいが危険に陥ったので田舎に避難してもらいましたが、病気になった父は避難先で十分な治療が受けられずに亡くなりました」と涙を流して悔やむ。
怒りで感情が高ぶり、また思うように訴えが通らないことから、精神的に病んでしまった。自分は政治活動には不向き。自分の強みのある分野で長く闘おう。皆が興味を持つ「食」を通じた活動なら注目もされるだろうと方向転換して、21年6月に池袋でSRRを開いた。
続きは本紙で...