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インタビュー

「天文台の自然を守る会」代表

近藤伊津子さん

  • 2024.7.5
  • 聞き手…中村富美子
  • 撮影…落合由利子

>近藤伊津子さん

(c)落合由利子

カッコウが鳴く天文台の森を守る

東京都三鷹市に、今年百周年を迎える国立天文台がある。10万坪の敷地には雑木林が広がり、春には老いた桜並木がこわいほど美しく、カッコウが鳴く夏にはひんやり命が洗われる。

 

  その森を奪う再開発が今、住民不在で進んでいる。学校を統廃合し義務教育学校(2016年に導入された小中一貫校)を建てるという。一人の校長の下で上意下達が進むなど、教育的観点からも問題の多い計画をなぜ、貴重な生態系を壊して作るのか。天文学者の夫と敷地内の官舎で長く暮らした近藤伊津子さんは、計画中止を求め昨年6月、仲間と「天文台の自然を守る会」(以下、会)を立ち上げた。  市民に情報提供せず、その声を聞かず、環境を壊し、公共空間を経済空間に変える再開発。都知事選の争点でもある明治神宮外苑はその筆頭だが、国連諮問機関のイコモスも外苑の計画撤回を警告している。  規模は違っても、じつは日本中で同様のことがおきている。そこで今年6月、各地の住民運動を横につなぐ「コモンズの緑を守る全国ネット」が発足し、近藤さんたちも加わった。

天文台は、多摩川の支流が削った武蔵野台地の崖(国分寺崖線)の上にある。希少な樹木や小動物も多い。南側の崖下には湧水の恵みで貴重な在来種である三鷹大沢わさびも現存する。学校を建てるのは北側地区と言うが、その開発で湧水は枯れないだろうか。生態系全体で考えるべき、と専門家たちも指摘している。  さらに背景には国立天文台の財政難もある。04年に国立の大学や研究機関などが法人化され、効率化の名のもとに運営交付金が毎年減らされ続けた新自由主義政策の結果だ。

        続きは本紙で...


こんどう いつこ

1939年、朝鮮半島に生まれ、敗戦後4歳で日本へ。東京都三鷹市在住。薬剤師として長年病院に勤務した後、薬局を自営。働きながら28年間にわたり「かっこう文庫」を自宅で開設。いのちの電話相談員、国立がんセンターのボランティアなど多彩に活動してきた。

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