(c)別姓訴訟を支える会
「北海道・札幌にも夫婦別姓が選べなくて困っている人たちがいるんだということを皆さんに知ってもらいたいなと思っています。よく、夫婦別姓だと家族の絆が壊れると言われる方もいらっしゃいますが、私たちは夫婦別姓が選べないせいで家族の絆が壊れかけました」
今年3月8日、東京と札幌市等に住む事実婚や法律婚のカップルの男女12人が、第3次選択的夫婦別姓訴訟を提訴した。夫婦が同じ姓であることを強いる民法750条等が、姓か婚姻かどちらかを諦めなければならない過酷な選択を迫り、夫婦別姓を選べないのは違憲だとして、国を訴えた訴訟だ(4面)。 この訴訟に札幌原告として参加しているのが佐藤万奈さん。事実婚の夫、西清孝さんと共に原告になった。 冒頭の言葉は、提訴日の記者会見での佐藤さんの発言。佐藤さんの心の根底には、いつも夫婦別姓を選べない怒りがある。
「結婚すると女の人の名字が変わることは、知ってはいたんです。でも当時は結婚が自分ごとではなかったので、ふ~んくらいにしか思ってなくて」と佐藤さん。 医療専門職として働いていた病院で、西さんと出会った。結婚することが現実的になってきた時に、結婚する時にどちらかが姓を捨て相手の姓になること、法律婚夫婦の女性の95%が改姓していることに思い至る。
「佐藤ってありふれた名字なので実は私は気に入ってないんですよ(笑)。でも『佐藤万奈』で生まれて生きてきたので一番しっくりくる。『西』は夫の名字であって私の名字じゃない。そう考えて初めて、私、変えたくないかもって思ったんです」 その思いを少しずつ西さんに伝えてはいた。自分も嫌な改姓を相手に強要できないし、西さんが改姓すれば「妻はよっぽどいい家の子なの?」と言われるに違いない。事実婚を選べば親世代、特に夫の親は正式な夫婦として認めないだろう―。まさに過酷な二者択一。
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