WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

写真集『透明人間 Invisible Mom』の写真家

山本美里さん

  • 2024.4.15
  • 聞き手…柏原登希子
  • 撮影…落合由利子

>山本美里さん

(c)落合由利子

私のこと、あなたに見えてます?

 表紙の写真にドキリ。洋服を着た模型人形が座っている、〝誰か〟の膝の上に。頁をめくると、ナイフのような言葉。「『お母さんがお願いします』の一声で、この世界の大半の問題は解決できるように出来ている」―。

 

  写真家・山本美里さんは昨年写真集『透明人間 Invisible Mom』を発行した。4人の子どものうち、2008年に生まれた第3子の瑞樹さんには重度の心身障害があり、「医療的ケア」が必要だ。瑞樹さんが特別支援学校小学部に入学すると、山本さんは「万が一」に備えて、学校内に待機するように言われた。しかも気配を消して。  表紙の人形は、医療的ケア研修用人形「まーくん」、〝誰か〟は山本さんだ。モチーフは、19世紀ヴィクトリア朝時代の肖像写真『Hidden Mother(隠された母親)』。当時は子どもが動かないように、母親が背景と同化して子どもを座らせていた。  「黒子なんかじゃない。私は『透明人間』なんですよ」

 2人の子育てをしながら、輸入雑貨を扱う会社で社員として働いている時に、瑞樹さんを授かった。急な発作や病状悪化もあり、「瑞樹を置いて仕事する自信がなかったんですよね」。山本さんが仕事をやめた。「私ずっと専業主婦って楽だと思ってたんですが、地獄じゃんって気づいたんですよ」

 支援学校入学前に通った園では、障害児のお母さんたちと出会った。が、学校入学説明会で、瑞樹さんに必要な医療的ケアでは、スクールバスに乗れず、学校での待機が必要だと分かった。21年に「医療的ケア児支援法」が施行されたが、どんな医療的ケアを行うかは、自治体や学校ごとに違う。

 「日常の愚痴を言い合ってたお母さんたちが私に気を使い始めて、だんだん距離ができて。待機の時間は暇だからSNSを見ると、待機必要ないお母さんたちが、美味しい焼肉ランチ食べてたり、映画見たり、ジムに通ったり、キラキラしてるわけ。なんかもう死にたいって」

        続きは本紙で...


やまもと みさと

1980年東京都生まれ、在住。2017年京都芸術大学通信教育部美術科写真コース入学。卒業制作作品は同大学学長賞受賞。21年『透明人間』を自費出版、23年にタバブックスから出版。サイトは https://inbisiblemom.studio.site/  インスタグラムは @m.yama_moto

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ