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サナ・ゴトビさんは昨年5月にスウェーデンを自転車で出発して、ヨーロッパ、中東、アジアの国々・街々で、モロッコによる西サハラの占領や人権抑圧などを伝える活動をしている。 西サハラはアフリカ大陸北部のサハラ砂漠西端にあり、アフリカ最後の植民地。スペインからの独立目前の1975年に、隣国モロッコから軍事侵攻を受け、以来領土の8割がモロッコの占領下にある。「両親がイラン系クルド人の私にとって、独立した国がないクルド人の社会と、多くの西サハラの人々がモロッコからの弾圧を逃れ難民となって隣国アルジェリアの難民キャンプで暮らさざるを得ない状況とが似ていて、目が向きました」とサナさんは語る。
今年5月に福岡から日本に入り、8月下旬に東京を出発。東北、北海道と、北上する。そんなサナさんにオンラインで話を聞いた。
日本はツアー全行程の半分で、16番目の国。北海道から次の東南アジアへ向かうのは10月中旬の予定だという。同行者のベンジャミン・ラドラさんと2人、たくさんの荷物を自転車に積んで走り、人づてに民泊先を探す毎日だ。 「自転車で世界を回るなんて過激に思われますが、西サハラの旗を掲げているので、あちこちで注目を集めます。泊まった家でも話をするけれど、初めて知ったという人ばかり」
サナさんが初めて西サハラのことを知ったのは6年前。今もこんな占領が続く地域があるなんて、とショックを受けた。 「占領下の西サハラの人々は、海外へ出て自分たちの苦難や抑圧状態を直接世界に向けて伝えることができません。でもスウェーデンのパスポートを持つ私はどこへでも行ける。西サハラ問題を知ったからには、世界の人々を動かすために行動しなくてはと思うようになりました」。人権活動家でもあるベンジャミンさんが、かつてスウェーデンからパレスチナまで歩いてパレスチナ問題を訴えたことも参考にした。
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