(c)落合由利子
今年4月の統一地方選挙で東京都国分寺市議会議員に初当選した鈴木ちひろさんは、市民主体で環境問題などに取り組むまちづくりをめざしている。選挙では、地下水からPFAS(有機フッ素化合物)が検出された問題にも言及。国分寺市など多摩地域では2019年、PFAS濃度が高いことが判明し、市民団体による血液検査では国分寺市の被験者のうち94%が、米国で健康被害があるとされる数値を超えた。湧水と都市農業がさかんな環境に惹かれて昨年、市に引っ越してきたばかりの鈴木さんはショックを受けた。
「多「根本的な解決のために、まずは国が原因究明を徹底的に進めてほしい。市には無料の血液検査や土壌・農作物の検査を求めています。市民としては早急に対応してほしいですから」
前職は日本語教師。早くから海外へ出たいと思うようになり、選んだ職だった。 「保育士だった母の方針で遊びメインの幼稚園に通ったので、小学校で勉強に出遅れてしまって。走るのも遅いし、周りと比べられることに苦しくなって、誰も知らない所に行きたいと思うようになったんです」
家では「マッチョな父」への反発を覚えてきた。高校のとき、担任教師が個人的に貸してくれた上野千鶴子さんの『サヨナラ、学校化社会』を読み、画一的な生き方を求める社会の問題に気づき、フェミニストだと自覚。同じ頃、日本語教師をめざすようになり、大学時代には働き始める。3年後、きれいな海に惹かれて鹿児島県奄美大島の学校に赴任したが、海水温の上昇で白化したサンゴを見て衝撃を受けた。さらにコロナ禍で失職、時間を活かして環境問題について調べ始めると、気候危機はそれを生み出した大企業や上の世代ではなく、若者や女性、貧困層などマイノリティが被害を受けるとわかった。その「不公正さが許せず」、積極的に「気候正義」という言葉を使っている。
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