(c)落合由利子
ドアを開けるとプンとコーヒーのいい香り。入って右にバーカウンター、左にフェミニズム、障害福祉、LGBTQに関する本やジン、雑貨が置いてある書棚(ふぇみんも!)、奥にはどっしりした黒ソファとテーブル。ここは茨城県・つくば市に今年6月に開店したブックカフェ「本と喫茶 サッフォー」。店主は現代書館の編集者だった山田亜紀子さんだ
山田さんは、カルチャーも学術研究も雑誌感覚で読めるフェミニズム入門ブック『シモーヌ』を2019年に創刊し、『#KuToo 靴から考える本気のフェミニズム』(石川優実著)や『RESPECT 男の子が知っておきたいセックスのすべて』(みっつん訳)などの革新的なフェミニズム本を手掛けた。『#KuToo』では、著者の石川さんへのツイッター上での誹謗中傷を収録したところ、投稿者が著作権侵害を訴えたが、東京地裁は「適法な引用」として勝訴した(高裁でも控訴棄却)。21年10月にはオンライン上の中傷やハラスメントをなくし、安全に発信できる環境づくりを目指す運動を始め、『シモーヌ』でも「インターネットとフェミニズム」特集を組んだ。
「編集者の前にフェミニズムの書店で働いたんですけど、選書が好きで、もう一度きちんと棚作りがしたいなと思ったんですよね」と山田さん。書店にいたのは日本でも#MeTooが始まる前。読んでほしい学術本が一向に売れない。それでも時事問題に絡めてコーナーを作ると、売れなかった本が売れた。
「お客さんとの対話も楽しかった。本を作る側になると読み手の顔が見えない。服屋が似合う服を探している人にアドバイスするように、こういう時にはこの本がありますってオススメしたいんです」
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