WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

産婦人科医で臨床心理士の

吉野一枝さん

  • 2023.4.25
  • 聞き手…伊藤春奈
  • 撮影…宇井眞紀子

吉野一枝さん

人間への関心でひらく更年期治療

吉野一枝さんが院長を務める「よしの女性診療所」では、更年期症候群の患者が多い。更年期とは閉経前後の約10年間を指し、女性ホルモンの急降下によってさまざまな不調が現れる。広告などで「イライラして汗をかく」といったイメージが広まっているが、症状は千差万別だ。

 

「じつは200~300もの症状があるので、まず患者の生活をよく聞くようにしています。更年期には仕事や育児、介護など負担が多いのに、男女賃金格差も埋まらないまま高齢出産も増えて、昨今はより厳しい状況。しかも女性医療の遅れにより医師が『更年期は病気じゃない』という昔の意識でいるので、抱え込んでしまう人が多いんです」

 

女性医療とは月経やホルモンの変動、生活の変化など、個人に即したきめ細かな医療のことで、日本に導入されてまだ10年ほど。吉野さんは親身なカウンセリングにより、軽視されがちな更年期の治療を進めてきた。  「深刻な悩みがある場合はカウンセリングを勧めます。例えば更年期症状が出る方にはDV被害がある人もいて、本人が被害を認識していない例が多いので、注意深く聞く必要があります」

 

 理想は、初潮がきたら婦人科でかかりつけ医をもち、長い目で見ていくこと。さらに低用量ピルを飲めば、月経や排卵をコントロールでき、不妊症、更年期症候群の予防にもなりうる。ただ、認可されて20年ほど経つ低用量ピルの普及率はさほど高くない。性教育が遅れているためだ。ネット処方で買えるようになったが、性教育不足によるリスクも見られるので、吉野さんは「まずは正しい知識を」と警鐘を鳴らしている。

 

性教育の不備やジェンダーバイアスに苦しめられているのは若い世代も同じだ。大学で保健相談を担当してきた吉野さんは、十数年前にトランスジェンダーの男子学生と出会い、その根深さを痛感している。学生は、乳房を切除し、子宮・卵巣の摘出手術をするか迷っている段階だった。

        続きは本紙で...


よしの かずえ

1954年、東京都生まれ。93年、医学部を卒業し、医師国家試験に合格。同年に東京大学医学部付属病院産婦人科に研修医として勤務。その後、複数の病院で研鑽を積み、2001年に臨床心理士資格を取得。03年によしの女性診療所を東京都中野区に開院する。

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ