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インタビュー

人権プラザで企画展を開催中の

飯山由貴さん

  • 2022.11.25
  • 聞き手…中村富美子
  • 撮影…落合由利子

 飯山由貴さん

(c)落合由利子

美術で遺す声なき声への検閲

 

美術作家の飯山由貴さんは10月28日、東京都による検閲を記者会見で公にし、背景にある差別を社会に問うた。検閲を受けたのは東京都人権プラザ企画展「あなたの本当の家を探しにいく」(~11月30日)。統合失調症の妹との協働作品などを展示中だが、付帯企画の「In-mates」上映とトークイベントが東京都総務局人権部(以下、人権部)により中止に追い込まれた。

 

同作は東京にあった王子脳病院に入院した朝鮮人患者の診療録をもとに在日同胞でラッパー・詩人のFUNIさんが言葉を紡ぎ、患者の魂を受肉するように表現する姿を記録したもの。人権部から作家に正式説明はないが、これまでのやり取りから、関東大震災時の朝鮮人虐殺の史実に向き合わない小池百合子都知事への忖度が窺える。  その経緯はYouTubeの記者会見動画に詳しいが、社会で見過ごされてきた人々の声や存在を記録する作家へと、飯山さんはどう歩んできたのか―。

 

「絵を描くのが好きで、紙とペンさえあればいくらでも遊んでいられる子でした。それが美大予備校で受験用の絵を求められ、自分の絵を否定されるうち嫌になり、朝も起きられず、うつ病の診断を受けることに」。そして担任から「そういう生活態度は周りに影響する」と高校をやめるよう促された。同じ頃、以前から不安定だった妹には統合失調症の病名がついた。

それでも当時の「大検」を取って入学した女子美術大学で「ジェンダーアートの授業に目を開かれ、自分の問題を糸口に表現する方法もあると知って救われました」。  そして古書市で見つけた昭和期のスクラップブックが作家への原点となる。作り主の頭の中をのぞく思いで、そこに祖父の記憶を交錯させた卒業制作。  「今思えばそれが、他者の記憶を引き受ける表現の始まり」  そのスクラップブックから飯山さんは皇室とハンセン病政策の関係にも関心を深める。

        続きは本紙で...


いいやま ゆき

神奈川県生まれ。美術作家。人権プラザ企画展では、妹と協働した『あなたの本当の家を探しにいく』と『海の観音さまに会いにいく』、王子脳病院に関する歴史研究者に取材した『hidden names』を展示。今回の検閲に対しては署名活動他、禁止作品の上映機会も探る。

【 新聞代 】(送料込み)
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