(c)谷口紀子
昨年8月大阪市内に「フェミとクィアのがんばらないトレーニングスタジオ『Ninaru』」がオープンした。スタジオ内はホっとするやさしい色合いの壁に、木製のマシンが3台。立ち上げたのは、大森暁さんだ。 「大抵の方が頑張ろうと気を張って来られるんです。でもここは、トランスジェンダーの人も含めて全ての人が、運動を通して自分の身体を知り、自分が心地よいと思える身体作りをするところ。身体を快適にするには運動しないほうがいいですよ、と伝えることもあります。頑張らないなら自分もできるんちゃうかと、体育の苦手な小学生から70代の方まで来てくれます」「フェミとクィアは、自分にとって子どもの頃から当たり前すぎて、ずっと表明し続けてないと見えなくなるんです」
祖母・英子さん(故人)と母・順子さんは、フェミニストでふぇみんの会員。離婚後シングルマザーとなった多忙の母に代わり暁さんの保育園の送迎や夕飯を食べさせてくれたのは、順子さんの友人のセクシュアルマイノリティの人たちだった。
「当時の私には当たり前すぎて何とも思ってなかったんですけど、子どもって人と違うことを自慢したいでしょ? スカート履いた“おじさん”が迎えに来て、友だちがびっくりしてたら、この人友だちやねんって。小学校入ったら今度は順子さんの集まりに一緒に行って、さらに訳のわからんすごい人たちに会いましたね」。多様な人たちとの出会いは、自分は何者なのかという問いを開いた。なぜ自分は「女」と認識し、「女」の身体で、「男」が好きなのか、しっくりくる一人称は―。
こんな暁さんだが、高校生から20代前半は、ミニスカートを履いたギャルスタイル。見た目にコンプレックスを感じ、「自分は太い。やせてるほうが可愛い」と思っていた。フェミニズムは助けにならなかった?「フェミニズムは見た目の細い太いをあんまり言うてくれなかったし、フェミニストにも体型を気にする人がいた。今は自分の力でサバイブできるので、自分が一番心地いいと感じる状態でいられます」
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