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インタビュー

『「きょうだい」としての私』著者

藤木和子さん

  • 2022.10.25
  • 聞き手…柏原登希子
  • 撮影…宇井眞紀子

 藤木和子さん

(c)宇井眞紀子

あなたの人生を大事に、生きていい

 

ケアが必要な家族に対して、家事や介護、感情面のサポートなどのケア責任を担う「ヤングケアラー」(2・3面)。その中には「きょうだい」や「きょうだい児」と呼ばれる、障害や難病を持つ人の兄弟姉妹の立場の人も含まれる。聴覚障害のある弟を持ち、今年4月に『「障害」ある人の「きょうだい」としての私』(岩波書店)を出版した弁護士の藤木和子さんは、昨年の政府検討会でも「きょうだい」の立場で意見を述べた。   「ようやく国の施策として一緒に考え、取り組んでもらえるようになったんだ!と思いました。その支援をその子ファーストの施策にしてほしいです」

 

本では、自身の経験を交え、「きょうだい」が困難を感じる「進路」「恋愛・結婚」「親亡き後」について、丁寧に答える。「小学校高学年でも読めるように書きました。『きょうだい』が声を上げられる社会は、誰にとっても生きやすい。自分の人生を大事にして、と伝えたいんです」

 

5歳の時に3歳年下の弟の耳が聞こえないと分かった。弟の通訳、母の悩みの聞き役…。学校で嫌なことがあっても親の負担になるからと言えなかった。  「弟とは取っ組み合いのケンカをするくらい対等でいたい気持ちと、対等ではいられない申し訳なさを感じていました。親や周囲は、お姉ちゃんは恵まれているけど、弟はかわいそうと言うのですが、弟は弟なりに頑張っていて、それを無視されている悔しさもありました」

父は地元で事務所を構える弁護士。いつしか「弟の分まで勉強を頑張って弁護士に」という期待まで背負うことに。「『跡取り娘』として、弟と私を足して2以上にすればいいんでしょって思っていました。でもいい成績を取ったら『弟にその分あげて』と言われ、私が失敗をするとホッとする親もいて。弟の『長男』の序列を崩す罪悪感があったんでしょう。いい成績を取りながら適度にドジをしましたよ。既存の役割意識が『きょうだい』で強まることもあります。自分の人生に与えられた宿題のような気がしていました。

        続きは本紙で...


ふじき かずこ

1982年埼玉県生まれ。2012年から弁護士。「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(全国きょうだいの会)本部スタッフ、「Sibukoto シブコト障害者のきょうだいのためのサイト」共同運営者、「聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会」代表。手話通訳士。

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