(c)落合由利子
ABC企画委員会。その名から活動内容を想像するのは難しい。事務局長の和田千代子さんによると、Atomic(核)、Biological(生物)、Chemical(化学)兵器の頭文字をつなげて考案したそうだ。非人道的な兵器が二度と使われることのないよう、戦争反対を表明している。1999年からABC企画委員会の名で活動を始めた。
とくに力を入れているのは、旧満州ハルビンで生体実験を行った731部隊遺跡を、アウシュヴィッツ、原爆ドームに続く3番目の負の遺産として世界遺産に登録する活動である。戦争の加害を忘れないために、また日中両国の「平和教育の基地」にしたいとの願いもある。なぜ和田さんは731部隊遺跡保存の運動に関わるようになったのだろうか。
67年、当時の郵政省東京地方貯金局に就職。国際反戦デー等に職場の組合活動の一環として関わった。その後、東京・新宿区の郵便局に勤めていた80年代、反原発運動の存在を知る。
「私、東海村の隣町の出身なのに、原発のことを何も考えていなかった」。すぐさま職場で「新宿反原発連絡会議」を結成し、区内の郵便局、区役所や出版社の組合員にも「職場に小さな反原発の組織を作ってください」と呼びかけた。 組合が最終的に連合に組み込まれ、「考えが違う」と組合を辞めた。闘争でクビになったり定年退職した仲間と、83年に新宿で自然食品店を開店。 「原発や食品公害、水俣病など公害病の学習会を開いたり、安全な食品を取り寄せるために生産者を訪ねたりしましたね」 バブル期に地上げなどに見舞われ、店を閉じた。
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